回転寿司という名のアミューズメントパーク訪問記 前編
おそらく10年以上振りに回転寿司に行ってきた。
最後に回転寿司屋に行ったのは高校生の頃。あの頃は、夏期講習中の塾の休み時間や土日の塾が始まる前など、ちょっとした空き時間に友達と数名で渋谷の回転寿司屋に行って、さくっと数皿つまんで出る、ということをちょいちょいしていた。
当時は、お寿司が流れるレーンはぐるっと円形で、テーブル席は店の端に数席ある程度でほとんどの客は寿司レーンを囲むようにカウンター席に座り、中に板前さんがいて、流れてこないお寿司は板前さんに直接声をかけて頼んでいた。お寿司の値段はネタによって異なるので皿の絵柄で判別し、会計は各皿の数を店員さんが数えて計算していた。
が、最近の回転寿司は、かなりの大変貌を遂げているらしいと聞く。
たまに、テレビで回転寿司チェーン店が取り上げられているのを見ると、注文はタッチパネル、頼んだお寿司は専用レーンを流れてくる…など、私が経験したことのある回転寿司とは最早全く違うものになっているようである。
好奇心を煽られまくった私は、先日遂に10年振りの回転寿司再訪を果たした。そこには、今までまるで知らなかった新たな世界が広がっていた。
都心に店がない、駅から遠い
私も同行者も普段回転寿司に行く機会がないので、まずどの店に行くかから調べなくてはならない。
回転寿司は大手チェーン店がいくつかあり、メディアでもそれなりに話題になっているようなので、渋谷・新宿・池袋の駅から少し歩いたところに何店舗もある、みたいな立地を想像していた。がしかし、実際には都心に店舗がなかった。ほとんどない。仕方がないので同行者2人と集まりやすいあたりの店舗を探そうとしたものの、どこも車で来る客を想定しているので街から離れた大通り沿いなどにあり、電車の駅からかなり遠い。行きづらい。
10分以上歩くのを苦とする友人はいつものように「タクシーで行こう」と言い出したが、安い回転寿司を食べるためにわざわざ片道数千円かけてタクシーを使うのは私のポリシーに反したため、却下。結局駅から10分以上歩く店舗に決定。
予約が取れない
ネットで調べてみると、「土日の夜は激混みなので予約必須!」とのことなので、訪店当日の昼間にあらかじめ予約を試みる。が、昼の時点で既に19時台まで予約がいっぱいで、予約できた一番早い時間が21時前だった。なんと。これだけ席数あるのに!
しかも予約といっても、その時間に行けばすぐ入れるというわけではなく、あくまで優先される程度のよう。ほんとうに繁盛しているんだな、と実感。
ディズニーランドもびっくりの待ち時間
かくして、夜に予約した店舗まで散々歩いて到着。店のドアを開けると、そこは人混みであった。
飲食店の入り口部分にこれだけの人が密集している光景は想像していなかったので、違和感で「???」となる。店に入ってすぐの狭い待合スペースに、おそらく50人以上はいた。店員の話によると既に予約は全て締め切っているそうで、ここにいるのは、私達のように事前予約はしたけれども予約時間通りには入れず待っている人と、当日予約なしで来店して整理番号をもらい、呼ばれるのを待っている人達のよう。
ちなみに、この時点で予約なしで来店し、整理番号をもらうと「待ち時間 約100分以上」だそうな。飲食店で100分待ちって!ついつい、「ディズニーランドじゃないんだから…」と思ったが、後から思うとこの考えは間違っていて、ここは飲食店というよりはアミューズメントパークなのであった。
客層と雰囲気がパーキングエリア的
土日夜だったこともあるのか、ほとんどの客が子供連れで、4人程度での来店。普段これだけの数の子供に遭遇することがないのでびっくりしてしまった。私も友人達も、「子供って、いるところにはこれだけ沢山いるんだね」「ここにいると、少子化だなんて嘘みたいに思えるね」と同じ感想を述べる。
子供はDSを持って楽しく駆け回っている派と、待ちくたびれてベンチで寝たりぐずったりする派の二派に分かれており、多くの場合、母親は時折子供を注意しつつも基本的にはスマホを見続けている。この光景はどこかで見た、既視感があるぞ、どこだろう、小児科とかか…?と思ったが、違った。高速道路のパーキングエリアだ。なぜって、ベンチですっかりしょぼくれている子供の隣に、同じくぐったりとした姿勢でマジ寝している父親がいる、というパターンが数多く見受けられたからである。
なんだか収容所的などんよりした空気が漂う中を、DS片手に駆け回る子供達、大変シュールな光景であった。
受付番号呼び出しがパチスロ
待合スペースは混みまくっているが、それでも意外に回転は早い(寿司ではなく客の)。受付にいるお姉さんが、常に超早口で受付番号を呼び出し続けている。このアナウンスがただものではなく、パチスロとか、繁華街のドラッグストアとかで行われているアナウンスのような、独特の雰囲気がある玄人的なもので、圧倒される。
きっとこの人、土日はいつも数時間こんなかんじで呼び出しアナウンスをし続けているのであろう、こなれすぎ。「受付番号XX番の方、XX番の方、いらっしゃいますでしょうか。…受付番号XY番、XY番の方いらっしゃいますでしょうか。…受付番号XZ番の方、」と、かなりの高スピードで番号が読み上げられていく。たまにアナウンスがある、とかじゃなく、お姉さんほんとにずーーっとマイクで喋りっぱなし。なので待合スペースはかなりうるさい、そんな中でもマジ寝し続ける父親と子供たち。
ちなみに、これだけ高速で呼び出しをしても、待合スペースの人口密度は一向に下がらない。後から後から、次々に客が入ってくるためである。
「これ、呼び出しに気づかなかったらどうなるのかな」「これだけ待ったのに、すっ飛ばされたらさらに待つ羽目になるのでは」という話になり、最終的には「自分達の受付番号の5番前から受付前に陣取っておくべきだ」という、良番を引いたときのバンギャ的行動に出た。
結局、私達が席に案内されたのは、事前に予約した時間の30~40分後であった。
席についてから巻き起こった感動の嵐については、長くなってしまったので後編で!