Versailles Premium Show Case Live Case #1@目黒鹿鳴館

 というわけでどうにか開場前にたどり着いた目黒鹿鳴館

 まずは第一部、FC限ワンマン。整番は100番台半ばで、一人で見てきました。チケットメール制だったので、チケットが手元に残らないのは残念だ。


 いやー、しかし、今日はいいライヴでした。だってほら、このセットリストを見て!

Prelude
愛と哀しみのノクターン
LIBIDO
Amorphous
The Love from a Dead Orchestra
月下香
Beast of Desire
PRINCE
PRINCESS
The Red Carpet Day

 なんということでしょう。私が、関東からわざわざ足を伸ばした福岡・広島・名古屋においても、セトリは最新アルバム「Versailles」の曲達+αの域を出なかったのに、最後の最後の鹿鳴で、これでもかと以前の曲を連発してくれるではないですか。ノクターンって。Beastって。ていうか、何よりDead Orchestraって!!ねえ。


 順を追って振り返ると、まずこの日のPreludeはショートバージョン。いつもならYUKI一人が出てくるとこで、いきなりおてるが出てきた…と思ったら、五人全員出てきた。私はイベントや対バンに行かないので、ショートバージョンのPreludeは久々に聴いたなあ。

 でもって衣装が、珍しいことに五人全員バラバラ!KAMIJOはLyrical、HIZAKIはNOBLE、YUKIはたしかASCENDEAD。下手二人はいつも同じようなかんじだしあんまり見てないから知らん。とにかく、KAMIJOとHIZAKIの衣装見て、私はあまりの懐かしさにクラクラしたわ。私はAristocrat's後にこのバンドを好きになったので、Lyrical衣装を生で見たことってたぶん一、二回しかないんだよね。最後に、KAMIJO分だけでも見られてよかった。シンプルだけどよかったよ。FC限にありがちな全員スーツとかじゃなくて本当によかった(私は別に人のスーツ姿に萌えない)。今日は、KAMIJOのヘアメイクも私の好きなかんじでした。


 で、一曲目はノクターン。春ツアーの水戸ぶりに聴けた。一曲目がノクターンっていうセトリも久々だ。やっぱ盛り上がるねー。おてるどうもありがとう。と、喜んでいたら、二曲目にLIBIDO。これもやっぱり盛り上がる。おてるの歌謡曲メロ&ピロピロ速弾きギター&KAMIJOの陳腐な歌詞、という素晴らしい組み合わせを、来年はもう聴くことはもうできないのかと思うと悲しくもなるけど。三曲目のAmorphous、これにもまたびっくり。まさかこれやるとはねー!予想外すぎた。最後のHIZAKIの綺麗なギターソロ聴いてしみじみ。JUBILEEは、メイン曲以外もよい曲が多い。HIZAKIが楽しそうでした。

 そうそう、この日はKAMIJOの歌の調子が大変よかった!こないだの名古屋も、その前の福岡と広島に比べりゃよかったけど、それ以上のよさだった。一曲目からほとんどずっと、ハラハラしないで聞いていられるレベル。これは珍しい!さすがにAmorphousのサビはかなりキツそうだったけど、それでもあんまり逃げずに歌い切ってた。なんなんだ、彼のお歌の調子の波の激しさは。このまま、ラストのNHKまで調子を保ってくれるとプロなんだけど。どうだろう…ああもう既に、次を考えるとハラハラする。これがこのバンドの中毒性の元凶。


 MC後、「数年間やっていなかった曲をやります」と言うので、え、なんだろう、SUZERAIN、Shout、Beastあたりはそこそこやってるしな…まさか突然Chaos初演奏とか?と考えていたら、なんとなんと、The Love from a Dead Orchestraだった!なんてこと!あまりの驚きに口が開いた。だって、ここでオーケストラって!!(この記事二回目)そう思ったのは私だけではなかったらしく、タイトルコールで客から結構な歓声が上がった。珍しい。

 あまりに懐かしくて、あまりに嬉しくて、完全に入り込んで聴いていた。この曲をラストハコライヴで、最高のコンディションのKAMIJOの歌声でもって聴けるなんて、私はなんて幸せ者なんだ。自分のブログをさかのぼってみたら、私がこの曲をライヴで聴くのは、なんと2010年4月のJUBILEEツアー@JCBホール以来だった。その前は、インディーズラスト5daysの最終日@鹿鳴館、その前はインディーズラストツアー初日@横浜、その前はインディーズ時の渋公。Versaillesがこの曲をやるのがいつぶりだったのかは知らないけど、私にとってはたしかに二年半ぶりで、最早毎回のライヴで「今日は聴きたい」と思うこともないくらいに、やらないことが当たり前になっていたので、ほんとうに嬉しい驚きだった。

時代はなぜこんなに立ち止まる事を拒み
人を醜く変えてくのか?

青き静寂へと変わり行くその指先
人は孤独を胸に刺して
薔薇を見つめながら流れ行く死の旋律
Ah…堕ちてしまうがいい


消えてゆけ 燃えてゆけ 醜い私よ
いくら殺しても甦る屍
この思い 届くなら 全てを消し去り
汚れなき薔薇のようにただ咲いていたい

 ああ、近年はこのバンドの中ですら消え失せてしまった、懐かしの麗しの耽美歌詞。しかし、このタイミングでKAMIJOが歌うこの歌詞は重いわ…!!


 感動のまま月下香に突入。この曲好きじゃないけど、KAMIJOの謎のミスターマリック手フリもこれで最後かと思うと切ない。一緒に踊る。インディーズラストの鹿鳴のときには、この曲やってもまだあんまり盛り上がってなかったよなーなどなど、Dead Orchestra後は何を聴いても、これまで四年半の色んなライヴでの思い出が頭に浮かんできちゃって、涙こそ出ないがかなり感極まってしまった。

 そんなこんなで過去を追想していたら「獣になっちまえ」的な煽りが入って、ふと我に返る。えええー、Beastもやってくれんの!!久々すぎて、イントロの謎の手フリに乗り遅れたわ。すっかり忘れてた。客がマフラータオルぶん回して、繊維が頭上を舞う光景、久々に見た。Beastも自分のブログ検索かけたら、聴くの2010年のJUBILEEファイナル@渋公以来だった…もう少し聴いてた気がしたけどそんなもんだったのか。Beastはギターソロや間奏におけるごっちゃごっちゃのカオス感が好き。BeastにおけるHIZAKIも好き。Amorphousでもそうだったけど、いきいきしてた。


 冒頭から珍し曲の連続で、ほぼほぼびっくりし続けた後、「二曲続けて聞いて下さい」と言われて嫌な予感がしたらやっぱりプリプリ。好きではない私はテンション下げタイムに入ったんだけど、やっぱりこの二曲はファンに人気があるようで、客からはオーケストラのとき同様歓声が上がっていた。PRINCEは好きではないけどKAMIJOの音域に合っていてすごく声が映えるし、PRINCESSも好きではないけれどこのカオス感を味わえるのもこれで最後かと思うと感慨深い。最早なんでも感慨深い。

 でもってやっぱりラストはレッカペ。音源ではアレンジ前の方が断然好きだけど、ライヴで聴いていると音源ほどの変化は感じないので、楽しめた。三、四年前のように血が沸くことはないが、それでもやっぱり大好きな曲。どうしたって気持ちが盛り上がる。おてる天才。


 レッカペ後はそのままメンバーコメントがあって、割とあっさりめにライヴ終了。Revenantを聴かずに終わるライヴは久々でした。いつぶりだろう?まあRevenantがなくても平気だったのは、この後第二部が待っていたからだね。

 このブログには何度も何度もしつこく書き続けてきたことだけど、私は、結成後何年経っても本編ラストでのレッカペとアンコールでのSympathiaとRevenantがなければどうしても締まらない、という、最初期曲頼みのライヴ構成を危惧し続けてきて、このままではこのバンドの先はないぞと思っていたら、結局ほんとに活動休止となってしまったわけなんですけど。とはいえ、やっぱりこの三曲には、持ち曲が増えてもセトリのこの位置に君臨し続けるだけの存在感があることはたしかで、この先持ち曲が増えることもないどころかバンドの将来もない、とわかっているこの状況下では、逆にこれらの曲達が来ると安心して聴いていられる。



 今日は20時から第二部があるということで、約一時間のライヴになるだろうと事前に予想していた。下手したら、いつぞやの鹿鳴ワンマンのときのように、トーク中心でライヴというよりイベントっぽくなるのかな、とか考えたり。でも今回、結局のところちゃんとしたライヴを見せてもらえた。セトリも、どうせNHKのリハ的に使われて終わるんでしょ、とうがった見方で決めつけていてごめんなさい。五年弱このバンドを見てきて、どうしても「ひっどいなー、やり方汚いなー」という方向の予想外が多かったけれど、たまにはこういう嬉しい予想外もあるようです。それを最後の最後に味わわせてもらえて、心から幸せだったよ。

 第一部、一時間でこれだけ詰め込んでくれて嬉しかった。完全燃焼でした。このライヴ、最初から行けて本当によかった!ありがとうVersailles、ありがとう事務所。

Versailles Premium Show Case Live Case #2@目黒鹿鳴館

 さて、続きまして、20時半開演の第二部。一日に二公演見るなんて最初で最後、なんだかアイドルのコンサートみたいな集金体制になって参りました。
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 二部もまたよかった!一部の最後で、KAMIJOが「二部もほとんど内容は同じですが、でもやっぱり少しだけ変えちゃいました」という、これ言って一体誰の特になるんだという発言をしたので、あ、そうなんだ…と思っていたけど、蓋を開けてみたら約半分は違う曲だったよー!

 というわけで第二部セットリスト。これまた素敵セトリ!

Prelude
ROSE
Vampire
Glowing Butterfly
The Love from a Dead Orchestra
月下香
DRY ICE SCREAM!!
PRINCE
PRINCESS
The Red Carpet Day


The Revenant Choir


 久々に一般発売で取った、第二部のチケの整番は100番台前半。一部終了後、二部の同行者と合流して、少し時間を潰した後に再度鹿鳴館へ。彼はLIBIDOのわけわかんなさが好きなので、一部でやったよと言ったら悔しがっていた。

 第一部よりはかなり人を入れて、詰めていた印象。まあ平日だし、第一部の18時開演ってのはFC会員でも来られない人がそれなりに沢山いたんだろうね。そういえば椅子のなくなった鹿鳴館に行ったのは初めてだった。詰めやすいー。普通のライヴハウス然としてきちゃってたのは寂しくもあったけど。


 さて、ライヴは第二部もショートバージョンのPreludeからスタート。今回はKAMIJOがNOBLE衣装、HIZAKIがJUBILEE衣装だった。あー、NOBLE懐かしいよう。自分がライヴ見るようになったのがNOBLEツアーからだからどうしても思い入れが。私やっぱBABYやアリパイの衣装よりもIDの衣装の方が好きだ。他三人の衣装は判別できず。HIZAKIは、第一部で額にべったり貼り付いてて不自然だった前髪ウィッグ(たぶん)を、第二部では斜めに流してました。

 一曲目はROSE。あれさっそく第一部と選曲違うじゃーんと嬉しくなる。秋ツアーではあんなにしんどそうに聞こえた(心情的にではなく、歌唱力的に)この曲も、今日はまあまあ。

 続いてVampire。秋ツアー、三か所も行ったらどっかしらでやるでしょと思っていたら、どこでも聴けなかった曲。大好きなわけではないけど、これで最後かもと思うと、やっぱこのタイミングで聴けてよかったーってなる。まあ、もうこの期に及んでは、どの曲聴いても「聴けてよかった」になるんだけどね…。

 三曲目にバタフライが来たのは意外だった。なぜここでこの曲?でもAmorphousもだけど、私HIZAKIのこういう新境地開拓曲結構好きだなあ。


 MCで、急遽第二部をやることになった経緯を説明した後、「FC以外のファンにもどうしてもこの曲を聞いて欲しかった」と言うので、プリプリかなあと思ったら、まさかのオーケストラであった。本日二度目!でも、好きな曲は一日に二度聞いても、ていうか二時間ちょい空けてすぐ聞いても、やっぱよいね。好きー。オーケストラ、さすがにNHKではやらないと思うけど、最後に二回も聴けてよかったよ。

 そして、さっきで踊り納めかと思った月下香再び。月下香は鹿鳴で聴くとしっくりくる。初めてライヴで聴いたのが2009年の鹿鳴だったからなのかなあ。初回は妙なフリなしで歌っていたKAMIJOは、今では変なフリをドヤ顏でやるようになり、あのときぽかーんだった客も今ではちゃんとBメロで逆ダイしてそれなりに盛り上がっており、なんだか嬉しくなる。

 新曲が初披露された後、ライヴの回数を重ねるにつれて徐々に客やバンドになじんでいく様を見るのは楽しいよね。成長を感じられるというかなんというか。いつぞやのMUSIC JAPANの公録で、NHKホールの客達だけでなく茶の間をもぽかーんとさせたノクターンも、あの後のJUBILEEツアーでは定番の盛り上げ曲になって、この日も第一部のトップバッターを鮮やかに飾ったし。見事な成長っぷり。


 六曲目はDRY ICE。大いに盛り上がる。秋ツアーで散々聴いたこの曲も、Holy Grailツアー初日はステージ上でメンバーが空回りしているだけだったね。この段階になると最早何を聴いても、その曲を初めて聴いたときのことやら、その曲が印象的だった過去のライヴのことやらを思い出してしまい、今現在数m先の目の前で繰り広げられているライヴ自体に集中できないという事態に陥る。いかん。このままだとラストライヴなんて何も記憶に残らない。

 でもってプリプリ。さっきで聴き納めだと思ったPRINCESSをまた聴いて、もういいよと思いつつもやはり切なくなる。好きではない曲でも、もう聴けないのかと思うとなんでも切ない。冒頭の、メンバーの白々しいお祈りポーズも、未だにファンもいまいちついていけてないカオスな中盤も、KAMIJOが自分に酔いしれる後半も、これでもう最後。

 ラストはレッカペ。今日も私は後ろで逆ダイの波を見ていました。皆楽しそうで何より。Versaillesのライヴに行き始めた四年半前は、いつも数列目で見てたし、レッカペとなると逆ダイの波にのまれてぐっちゃぐちゃになるのが楽しかった。けどここ数年は後方でまったり平和に見るのが好き。激しく逆ダイしなくてもレッカペは楽しいよ。


 レッカペ終了後、メンバーが前に出てきて、第一部同様に締めのコメントに入りそうになったところで、客から「もう一回!」コールがかかり、そのまま退場なしでアンコールのレベナントへ。鹿鳴でのラストライヴハウスライヴの締めがレベナントでよかった。やっぱ名曲。代表曲。

 アンコールでは、HIZAKIがおてるのギターを弾いてた!二人で同じ激鉄ギター、なんだか不思議な光景でした。最後、そういえば第一部ではやらなかったメンバーコールのときに、おてるがいつもやるギターでマシンガンポーズを、HIZAKIも真似してやってたよ。あれ、元はといえばJasmineさんがやってたんだよね。

 曲が終わった後のメンバーコメントでは、おてるが泣いてました。HIZAKIやKAMIJOが泣いてるのは今まで何度か見てきたけど、おてるがあんなにはっきり泣いているのはおそらく初めて見た。KAMIJOやHIZAKIと違って、まだ完全には吹っ切れてないのかなあと思ってしまった。他のメンバーはまあ当たり障りのないコメントでで、全員でお決まりのジャンプ後、最後のお戯れタイムを割としっかりめに取ってから、メンバーは皆笑顔でステージから去っていった。



 ライヴが終わって帰るときに、こんなにも気持ちが高揚して、満たされていたのは久し振りだった。いつぶりだろう。春ツアーでSUZERAINを聴いた水戸ぶり?それとも去年のさいたまライヴぶりか、2010年のJUBILEEツアーファイナルの渋公ぶりか。とにかくとにかく楽しくて、ライヴ中もずっと「ありがとう!!!」っていう気持ちでいっぱいだった。あと一週間で解散するバンドだけど、そんなこと感じさせないくらいちゃんとしたライヴで、すごくいいものを見せてもらえた。

 FC限と言っていたライヴの一週間前になって、この日のライヴを二部制にして一般発売するだなんて、きっともんのすごい資金難なんだろうし、その告知をチケット一般発売のほんの数日前にやるなんて、このバンドではいつものことだとはいえ、正直ドン引いてた。触れ込みの会員特典のほとんどがまともに実行されていないにも関わらず、それでもなお会員費を払ってFCに残っている会員限定のライヴを短縮してまで二部制にするなんて、どんだけお金集めなきゃ足りないんだよって。どんだけファンを金としか見てないんだろう、えげつないなって。

 でも、そんなこととは全く別問題として、今日のライヴは素晴らしかった。事務所の対応のひどさなんて忘れるくらい、突然二部制になって、ライヴ時間が短縮されてもそれでもよかったって思えるくらい、今日のライヴは素晴らしかった。それが事実。

 もっとちゃんとした事務所で、ちゃんとしたマネジメントの下で活動していたら、このバンドにもまた違う未来があったんだろうけど、そんなこと今更言ったって仕方がないよね。私が知ったときからマネジメントはひどかったし、それでもやっぱり曲とライヴはよくって、そうやって数年間活動してきたんだもんね。そして私は、そんなこのバンドのことが結局最後まで好きだったんだもん。

 今日は、次にも期待が持てるようないいライヴだったし、解散が決まったからといって手を抜いたようなライヴじゃなくって、本当によかった。


 次はいよいよラスト、NHKホール。どんなライヴになるんだろう。好きなバンドのラストライヴって10年以上ぶりで、未だに自分の心情もあまり想像できないんだけど、私が五年弱愛したバンドの最後の姿を、できる限り胸に刻みつけて帰ってきたいと思う。