KAMIJO Sang Project Act VII Dream Live “Symphony of The Vampire” KAMIJO with Orchestra@EX THEATER ROPPONGI

2019年3月27日、EXシアター六本木で行われた、KAMIJOソロのオーケストラを率いたドリームライヴ。

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ライヴが終わってから、何度もレポを書こうと思ったが、どうも書き始められなかった。書いてしまうと、あの日の感動を、文章の中だけに閉じ込めてしまうような気がしたから。

でも、このまま何も書かないでおくとほんとうに全てを忘れてしまうので、公式に映像化される前に、まずは私の記憶をここに書き記しておく。

私の視界の記憶というよりも、例によって私の感情の記憶と懐古がメインだけれど。


目次


セットリスト

Prologue(Symphony of The Vampireメインメロディ)
Dead Set World
Theme of Sang
Nosferatu
Heart
Delta -Interlude-
Castrato
Ambition -Interlude-
Sang I
Sang II
Sang III(オーケストラのみ)
Presto
Sacrifice of Allegro
Royal Tercet
Dying-Table
Sonata
満月のアダージョ
Throne

この世で一番美しい薔薇よ
Louis 〜艶血のラヴィアンローズ
Throne(いつものSEのオーケストラ版)

Theme of Sang(音源)


ライヴ全体のざっくり感想

全体通して、ほんとうに素晴らしいライブで、何の心配もいらなかったし、残念な点もなかった。

数年、いや数十年に一度という、ここぞというところでこれだけ完璧な結果を出せること、これがKAMIJOソロの実力であり、そして今の勢いなんだと思う。

2017年のEpic Rock Orchestra追加公演や、Versaillesの武道館公演で感じたような、ここぞというところでなのに決めきることができず、なんなら普段より悪い結果になってしまったあの残念さ、あれを完全に払拭できていたライヴだった。

そして、こんなに繰り返し涙が出ることってあるんだ、こんなにも鳥肌が立ち続けることなんてあるんだ、と自分でもびっくりするほど、心動かされるライブだった。ライヴの序盤から、「KAMIJO、こんな素晴らしいものを観せてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいになった。

以下、いつもよりさらに脈絡のない長文で、今思っていることを書く。

2018年以降のKAMIJOについて

2018年3月にリリースされたSangは、まず音源自体が素晴らしかったのはもちろんだけど、その後のライヴハウスでのツアーも、席ありでのツアーファイナルも、年末に再度見せてくれたディレクターズカット版ライヴも、どれもとてもよかった。

概して、Sang発売以降のKAMIJOは、ほんとうにほんとうに、素晴らしかった。それ以前、KAMIJOソロの日本での初ライヴやHeartツアーもそれなりに観ていたし、それはそれで楽しかったけれど、あの頃とは比べ物にならないような別の次元で、2018年以降のKAMIJOは非常にいい状態だった。

そんなアルバムSang発売から一年が経った2019年3月27日、ルイ17世の誕生日に行われたのが今回のライヴ。2018年からの怒涛の流れも勢いも一切止めず、さらにそれまでにKAMIJOが積み上げてきた技術や経験を全部乗っけた、KAMIJOのキャリアの集大成のようなライヴだった。

「遂にここまでたどり着いた」感と、「連れてきてもらった」感

そして、なんだか「遂にここまでたどり着いた」という感じが非常に強いライヴだった。

別に私がどこにたどり着いたわけでもなく、単にKAMIJO自身が自分の努力でこの日のこの場にたどり着いたというだけであるということはわかっているのだが、それでもどうしても、自分も一緒にここまでたどり着いたような感覚を持ってしまった。非常に図々しいファン心理である。

その一方で、遠い昔に私が大大大好きだった小文字時代のDir en greyが大きい会場でライヴをやるようになったとき、あの頃の感情を久しぶりに思い出した。私が初めてホールでディルのワンマンを観た渋谷公会堂公演や、メジャーデビュー後に横浜アリーナ公演や大阪城ホール公演に行ったときに、「こんな大きいホールに私たちファンを連れてきてくれてありがとう」と、バンドに対して心から思っていたことがあった。ああいうのは、当時私が中学生で若くて、純粋にディル馬鹿だったがゆえの感情だと思っていたのだが、今回のライヴを観たら、20年ぶりにあのときと同じ気持ちになった。

この日は、やっとここまでたどり着いた感も、連れてきてもらった感も、どちらも同量だけ胸の中に存在していて、ライヴが始まったらその思いがぐちゃぐちゃに混じって、それだけで珍しく胸がいっぱいになった。

KAMIJOを初めて観てからの21年間と、再度知ってからの11年間

私はLAREINE時代からKAMIJOの存在自体は知っていて、ワンマンにも対バンにも、ロマンス革命にも参加してはいたが、当時は別にファンではなく、友達が余らせたチケットがあれば(単にタダだから)ライヴに行く、という程度だった。

LAREINEは、当時私が大好きだったDir en greyとメジャーデビューのタイミングが近かったため、メディア露出の時期や場所がよくかぶっていた。ラジオやイベントに出てきたKAMIJOがお決まりの第一声「ボンジュール、ハニー?」をひっくり返った声で言うのを聞くたびに、おっ、KAMIJOだ!とは思ったし、メジャーデビュー前後はアルバムも聴いていたが、別にそれだけだった。メタモルフォーゼと冬東京だけは今でも大好きだけど、他は、特に曲自体にもKAMIJO自体にもさほど興味を持たずに過ごしていた。

それから長い年月が経ち、大文字になったDIR EN GREYへの熱さも、現存するヴィジュアル系バンドへの興味もすっかり消え失せた(と思っていた)後の2008年春、たまたまウェブサービスで流れてきて知ったのがVersailles。あまりに好みの楽曲だらけなので調べてみると、ボーカルがあのKAMIJOではないですか。まだいたのね!しかも、まだ薔薇しょってるのね!

それで、2008年7月にやっと取れたチケで久々にライヴを観に行ってみると(同年5月の代官山UNITワンマンのチケはソールドしていて取れなかった)、相変わらずの癖のある歌い方と音程で、ヴィジュアル系らしくキメるところはキメつつも、MCはぐだぐだなKAMIJOがそこにいた。でも曲は間違いなくよくてライヴで聴いても負けないし、楽器隊のクオリティも申し分ない。そのまま、KAMIJOもVersaillesも好きになって、今に至る。

私がちゃんとKAMIJOを観始めたのは2008年からなので、LAREINEファンの人たちからするとKAMIJOファン歴は浅いのだが、それにしても11年というのは私からすると結構長い。この11年間、東京でワンマンライヴが行われれば大体行く、というようなかんじでKAMIJOを観てきたが、その中でもこの日のオーケストラライヴが一番よかったんじゃないだろうか。KAMIJO自身の思い入れが、彼のファンである私の思い入れになったという部分がかなり大きかったとは思うけれど、それを差し引いて考えても、この日のライヴはよかったと思う。

ライブ開始直後から泣く女

それで、なんかもう、KAMIJOの歌がどうとか、アレンジがどうとかそういうこと以前に(いやもちろんそれもよかったんだけれど)、KAMIJOがこの夢のオーケストラライヴを遂に実現したというその事実と、そこに至る背景に対してだけで既に感動してしまい、ライヴが始まって最初のSymphony of The VampireのメインメロディとDead Set Worldの演奏を聴いた時点ですぐさま涙腺が緩み始め(いずれもインストなのでKAMIJOの歌はない)、次のTheme of Sangで、オーケストラと、サポートメンバーのバンドサウンドと、KAMIJOの歌が見事なバランスで重なっているのを聴いて安心した直後に、もう泣き始めてしまった。

いつも、いくらよいライヴを観ても、今日は来てよかったなとか、あの曲のあの部分の歌や演出がよかったなとか、せいぜいKAMIJOは最高だな、天才だな(抽象的)くらいまでしか思わないが、この日のライヴは感動ポイントがあまりに多すぎて、KAMIJOへの感謝が止まらないというわけのわからない状態になり、ライヴが終わった後どころか、ライヴ中、いやライヴ序盤から「うわーKAMIJO、どうもありがとうありがとう、ほんっとうにありがとうございますこんな素晴らしいものを我々に観せて下さって(敬語)!!!」と心の中でひたすら思い続けながら、断続的にマジ泣きする、というやばい展開になった。お陰で、普段のライヴに比べて全然冷静に観られなかった。ある意味もったいないが、仕方がない。それだけ感動したのだ。

私はあまり感受性が豊かな方ではないので、KAMIJOのライヴでここまで涙を流したことはおそらくこれまでなかった。これまで、ライヴの最中に複数回涙がぼろぼろ流れるほど泣いたのは、Jasmine Youが亡くなった翌年の2010年の8月に行われた、名古屋ボトムラインでのVersaillesの追悼ライヴくらいではないかと思う。

あのときは、その追悼ライヴが素晴らしかったからとか感動したから、とかではなく、そのライヴ前日に全く別で行われたJasmineさんの前の所属事務所の社長主催の追悼ライヴの素晴らしさと、その翌日によりによって同じライヴハウスで行われたVersaillesのワンマンライブの陳腐さ、その対比に泣いたのだった。2日間、同じライヴハウスにいるというのに、その落差がほんとうにすごすぎて、私は一体何をやっているんだろう、こんな状態になったVersaillesに何を期待しているんだろう、というのが自分でもわからなくなり、あまりの情けなさ、不甲斐なさ、悲しさで、ベタな追悼曲を歌うKAMIJOをフロア数列目で見ながら、涙が止まらなくなったのだった。

2009年にJasmineさんが亡くなって、かなり多くのファンがVersaillesから離れたと思うし、それは当たり前だと思うのだが、私はKAMIJOの作る曲が好き、Versaillesのライヴが好き、というだけで結局は2012年の活動休止までVersaillesのファンでい続けた。さらに、その後は自分でもあまり予想していなかったことだが、こうやってKAMIJOソロにのめり込んでいる。

あの2010年夏の名古屋ボトムラインで、ああやっぱりもうだめだ、となって、その後Versaillesのライヴを観に行かなくなっていたら、2019年のこの素晴らしいオーケストラライヴの瞬間には立ち会えなかったんだなあと思うと、まあ色々あるけれども、自分がほんとうに好きなものについては一瞬で諦めたりしないで、長い目で見続けているといいことがあったりもするんだなあとか思ってしまうし、結局だらだらとVersaillesを観続けることにした自分の、ある種の怠惰さや薄情さに感謝したくもなる。

セットリストについて

で、やっとライヴ自体について。詳細は下で箇条書きするけど、ここではセトリについて。

この日のセットリストはまさに私の好きなかんじ、つまりはKAMIJOの王道セットリストで、とてもよかった。途中に休みを挟むとか、ちょっと一息つく暇を与えるとか、そういう発想が一切感じられない怒涛の展開。せっかくのオーケストラなので、mademoiselleとかMysteryとか、なんなら突然のLAREINEとか、そういういかにもオーケストラに合うような明るめの曲を入れて、気分転換代わりにしたりするという方向性もあったはずだが、今回のKAMIJOはそれを選択しなかった。

本編は、最新アルバムSangと、デビューミニアルバムSymphony of The Vampireの、濃いところを全て煮詰めたような構成で、つまりは私の大好きなセットリストだった。せっかくのオーケストラライヴ、だからといって、いらない曲はいらないから。ここぞというときに、こういう王道セットリストで真正面から立ち向かえるKAMIJO、とてもよいし大好き。

Symphony of The Vampireは間違いなく名盤で、その後に出たファーストフルアルバムHeartはそれに比べてしまうと傑作感が薄れていた。しかしその後、過去回顧ツアーの後に発売したカストラートで急激に持ち直し、そしてSangという超傑作を出してくれたので、その後の今というこのタイミングでオーケストラライヴをやってくれてよかった。KAMIJOの状態的にも、持ち曲的にも、申し分ないタイミング。オーケストラバージョンで聴くSang曲の映え方といったら凄まじい。完全に音源を超えていたもんね。

たまにライヴを観ていて、「今日はこの曲1曲だけでチケット代の元を取ったな」などと思うことがあるが、今回のオーケストラライヴに関しては、このチケット代では払い足りていない…と本気で思うほどだった。今回、私はステージにあまり近すぎるところで観たくなかったのでS席を取ったのだが、その上のスペシャルシート(だっけ?)くらいの額を払うべきだった、と後から思った。席自体はS席でも十分で、音的にも視界的にも全く不満はなかったのだが、あのライヴが12000円だったと思うと、払い足りていない感がすごい。私はケチなので、好きなアーティストのライヴだからといって、チケット代が払い足りていないと思うことなんて普段はほとんどないのだが。まあ、その払い足りていない分は、このオーケストラライヴのDVDや今後の音源、ライヴに払っていくことにする。

最高なサポートメンバー布陣と、Anziのサポート休止について

サポートメンバーは、この日も全員完璧な仕事だった。

一時はKAMIJOと色々もめた挙句、Versailles解散の一因にもなってしまった(ということになっている)YUKIが、今は大勢のオーケストラの中で一番高いところに位置して、こんなに長いセットリストの曲を、全曲通して叩いている。もうそれだけで感動してしまう。YUKIのドラムはほんとに好きなので、サポートに来てくれて嬉しい。

Mekuはいつもクールな印象だが、この日の彼は結構熱かった。オーケストラをバックにお決まりのハイキックをかましたりと熱い印象ながらも、決めるべきところは確実に決め、常に冷静で大ミスをしない。決して自分が前に出すぎずに、主役のボーカルや曲全体を確実にサポートできる、サポートメンバーとして極めて優秀なギタリスト。この先、もしMekuがサポートから抜けてしまうようなことが起こったら、それはKAMIJOソロの終わり、少なくとも衰退を覚悟しなければならないときだと、私は大真面目に思っている。それくらい大事な人。

MASASHIもいつも通り安定。Sonataでは、KAMIJOとこの曲でのいつもの絡みを軽くやっていて驚いた。この日のライヴでは、いつもはお決まりのそういうメンバー間絡みとかはやらないのかなあと思っていたので。

最後に、Anziについて。私は摩天楼オペラファンではないので、彼自身に特別な思い入れはないのだが、2008年に私がKAMIJOを好きになった頃には、Versaillesが同じSherow事務所にいた摩天楼オペラとよく一緒にライヴをしていたので、必然的に観る機会が多かった。その後はずっとご無沙汰だったが、Anziが摩天楼オペラを脱退した後にKAMIJOソロのサポートに入って、また彼を観るようになった。

そしたら、なんだか昔に比べて顔がシュッとしていて、以前の印象よりも綺麗な顔になっていた。今のKAMIJOソロのステージ上には、ああいう線が細い系の顔(2次元の美少年アニメに出てきそうな顔、似顔絵描きやすそうな顔)の人はサポートメンバー含めていないし、ステージの見栄えや、ファンの好みのバランスを取るにもよい顔ではあると思った。Anziのギターに関しては、サポートメンバーにしてはちょっと派手すぎというか、「俺が俺が」感が結構強く出ていて、あくまでKAMIJO本人が一番好きな私からするとMekuのギターほど好きになれなかったのも事実なのだが、それでも、Anzi以前のサポート下手ギターに比べたら安定感があって断然よかった。

なので、彼が抜けてしまうのは寂しい。毎回のライヴでこれだけのクオリティーでギターを弾けて、見栄えもよくて、ついでに言うとライヴ動員や物販にもきちんと貢献できるサポートギターなんて、他にいるのだろうか。抜けることが発表された後になって、あー、Anziはいいサポートだったなあ、と思ってしまう。

今後、新しい下手ギターが入るのか、はたまた、しばらくはMeku一本でいくのか、どうなるんだろう。以前のサポート下手ギターみたいな中途半端な人を入れるぐらいなら、誰も入れないでいてくれる方が私は嬉しいのだが、そうするとNosferatuなんかでのあのツインギターの派手派手しさは失われてしまうと考えると、それはそれで寂しい。

改めて考えると、2018年3月のSangツアー開始時から、あれだけ素晴らしい楽曲たちを、あれだけ素晴らしい演出で、そしてあれだけ素晴らしいサポートメンバーメンツで毎回観られていたのは奇跡だったんだなあと思う。ベースは途中で時雨からMASASHIに変わったけれど、私はMeku、Anzi、MASASHI、YUKIというこの日の布陣が今までのサポートメンバー体制の中で断トツ一番好きだった。一番好きなサポートメンバーの演奏で、これまでで一番好きなソロアルバムのツアーやライヴをかなりの回数観られたのは、実に運がよかったし、Anziには感謝している。できればまたKAMIJOのサポートに帰ってきて欲しいな。

以下、細かい話(思い出したら随時更新予定)

  • この日のライヴ、終始座ったまま観るつもりで勝手にいたのだが、いざライヴが始まったら周りの観客たちが特に躊躇ないかんじで一斉に立ち上がったので、ちょっと驚いた。私は、2017年にキネマで観た室内楽コンサートのようなつもりで来ていたが、蓋を開けたらオーケストラコンサートというより、完全にいつも通りのロックライヴだったし、立ち上がった客たちは正しかった。

  • この日の演奏全般について言えることだが、耳が足りなかった。全っ然足りない。オーケストラライヴが行われることはだいぶ前から告知されていたし、告知の時点で何が何でも観に行くことは決めていたので、「当日は、あの曲のこの部分やこの楽器の音に注目して聴きたいなー」みたいなところはたくさんたくさんあったのだが、いざその場に立ってみると、オーケストラの演奏とサポートメンバーの演奏とKAMIJOの歌と同期で流れている音、その全体の音の完成度に圧倒され、あまりに感動してしまい、細部をあれこれと聞き分ける能力も余裕も記憶力も、全てが一瞬にして失われてしまった。

  • そして、目も足りなかった。私は一応KAMIJOファンなので、普段はKAMIJOばかり観ているが、この日はただでさえステージが広いのに、KAMIJOもサポートメンバーもオーケストラも気になるし、ていうかオーケストラだけで何十人もいるから一視野に入り切らなくて全然見切れないし、ということで、目移りしすぎで大変だった。このあたりについては、後で映像を観るしかないのだろう。あまりに贅沢だった。

  • バイオリンとかチェロとか、もっと弦楽器にばかり感動するかと思っていたが、実際に聴いてみると、管楽器の威力が予想よりはるかに上をいっていたのが意外だった。

  • Heartやってくれたのすごく嬉しかった。生で絶対聴きたいと前々から思っていたところ(1回目のサビの裏の弦楽器メロディ)があったのに、Heartをやってくれたという嬉しさで全てあっさり聴き逃した。

  • カストラートのイントロがやばい、やばすぎた。イントロ入りの、静かに忍び寄る終幕や恐怖の予感、畳み掛ける管楽器、そこからの迫力の変拍子、からの急速展開と4拍子への展開、さらにはその一瞬の照明効果。元々、カストラートは音源発売時から大好きだったし、ライヴで聴いていても、KAMIJOが歌い出す前のこのイントロの部分が最も好きだったのだが、今回のライヴで遂にそのイントロ完全版を見た。今年3月からのSymphony of The Vampireツアーでは、カストラートの入り前に声優の演技が重なって、それはそれは劇的なカストラート入りになっていたんだけれど、この日のライヴではそのような演出は一切なくて、なのに、今まで聴いたどのカストラートよりも劇的だった。下の感想ツイートにも書いたが、このカストラートのイントロの数十秒間で、鳥肌が波のように何度も繰り返し押し寄せてきて、私の体温調節機能はここで完全に死んだ。そしてまた泣いた。

  • その凄まじすぎるカストラートからの、Sang三部作。攻め続けるセトリが最高。Sang IもSang IIも終始迫力がありすぎてすごかった。この日のSang IIIが歌なしのオーケストラバージョンだったのは意外だったけど、あれはあれでよかったかな。そしてその美しさにまた泣いた。

  • 今回はSymphony of The Vampireというライヴタイトル、ツアータイトルではあったが、オーケストラのアレンジは、Symphony of The Vampire曲よりも、Sang曲の方がより合っているなあと感じた。

  • Prestoは、圧倒されてあっけにとられている間に終わってしまい、これといって何も覚えていない。Sacrifice of Allegroのイントロはいつもと全然違う感じで、迫力があった。Dying-Tableは、私の期待していた方向ではなかったが、違う方へかっこよかった。そしてSonata。イントロでのバイオリンソロ(あれはソロというのだろうか?)のメロディを、スポットライトを浴びながらバイオリンで奏でるコンマスのクラッシャー木村さん、めちゃくちゃかっこよかった。こういうときに、自分やサポートメンバーだけでなく、オーケストラにもピンスポを当てられるKAMIJO、正しい。

  • この日のKAMIJOの歌は、Sangよりも、Symphony of The Vampireとか、Louisの方がよかった。Sang IIの聞かせどころ、just like the air部があんまりよくなくて、満を持した感もなくやや遅れてお立ち台に上がり、そのままのっぺりと終わってしまった。一方で、満月のアダージョのラストの「全て捧げよう」はよかった。Sang三部作を聴いた後に聴くSymphony of The Vampireの第六楽章のラストのこの歌詞、ルイを救い出したベートーベンを始めとして、彼を守ってきた多数の人たちの想いや、彼らが犠牲にしてきたものなど、全てがこもった非常に厚みのあるメッセージとして聴こえてきて、すごくよかった。

  • そして去年から、声優演出によって散々泣かされてきたLouis。ラストのラヴィアンローズ部分、ここは普段のライブでも、大抵の場合大体いい歌が聴けるんだけれど、この日もまたよかった。ルイ17世に焦点を絞った今回のライヴで、Louisがよい状態で聴けたのはとても嬉しかった。

  • 下の感想ツイートでも書いたのだが、この日のアンコールで、最初にVive le Roiコールをたった一人でした人、その人(どこから声が聞こえたのかも忘れたし、誰かは知らない)は、ほんとうに偉い。この日のコンサートの隠れた功労者といってもよい。ああいう行動、なかなか取れないよね。素晴らしい。



感想ツイート

ライヴ自体について


Anziのサポート終了について



全体通して、とってもいいライヴだったし、とってもいい体験ができたし、KAMIJOのことがより好きになった。

おめでとうKAMIJO、ありがとうKAMIJO。これからも期待している。

しかしあまりに感動しすぎて、ライヴの細部をほぼ覚えていないので、実際のライヴがどうだったか詳細を知りたい人はDVDまたはBlu-rayを買いましょう。私も買う。ライヴアルバムも出るよ。


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過去記事





KAMIJO Sang Project Act VI Live Tour 2019 “Symphony of The Vampire”@東京キネマ倶楽部

KAMIJOのSymphony of The Vampireツアー2日目、東京キネマ倶楽部


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既に書いたように、前日の柏公演があまりよくなかったので、どうなることかと思っていたが、2日目のこの日はいいライブだった。


目次


セットリスト

Presto
Sacrifice of Allegro
Royal Tercet
Tresor (SE)
BASTILLE
Emigre
Delta -Interlude-
Castrato
幻想トリアノン
Louis 〜艶血のラヴィアンローズ
闇夜のライオン
Dying-Table
Sonata
満月のアダージョ
Throne(途中まで)
Throne(SE)
運命(途中まで)
Throne(続き)
Throne(SE)

Presto(室内楽バージョン、音源)


Dead Set World
Moulin Rouge
Vampire Rock Star
Sang 〜君に贈る名前〜
Nosferatu

Throne(SE)
Theme of Sang(音源)


長々とライヴ感想

演出やストーリーなどのライヴ進行も、KAMIJOのコンディションもよくて、去年のクオリティに戻っていた。

KAMIJOは集中状態だけでなく歌も普通によかった。たった1日でこんなにもコンディションが変わるとは思えないので、柏公演との感じ方の違いは単純に会場と私の耳の相性によるものなのかもしれない。思い返してみると、私はVersaillesのときから柏PALOOZAでいいライヴを観たと感じた記憶がほぼないので、あのライヴハウスの音だか音バランスが好きではないのかも。

前日の柏では、楽器隊を合わせた音のバランスがぐちゃぐちゃだったように聞こえたけれど、キネマは普通によかった。Anziのギターも正しい音量で聞こえたし。



演出というかシナリオも、前日より断然よかった。基本的には去年のSangツアーと同じく、ステージに映像を流し、要所要所で声優の演技が入るスタイルだけれど、その内容がSangツアー時とは変わっていて、新章が始まったんだなーって実感した。

正確には、Symphony of The Vampireは過去作品でありむしろ原点なので、ほんとうは新章でもなんでもないんだけど。これからのツアーでシナリオがどう変わっていくのかな、と純粋に楽しみに感じられた。前日の柏のライヴを観た後は嫌な予感しかなかったが、無事払拭されてよかった。


この日のカストラート入り前には、ちょっとした新しい演出があった。こういう新しい仕掛けがあると、複数公演観るツアーも楽しめるな、と思える、嬉しい演出。

それまで、効果音や声優さんの声は会場前方のスピーカーからしか流されていなくて、それは私が観た去年のライヴでもおそらくそうだった。でもこの日のカストラートのイントロ(Delta -Interlude-部分)のラストでは、マリー・テレーズの叫び声だけが突然フロア後ろから聞こえてきて、かなりびっくりした。

あの叫び声を聞いてから数秒間、私は全く寒くもないのに両脚からぞぞぞっと寒気を感じて鳥肌が立つという謎の経験をした。脚に鳥肌って立つんだね。今日の冒頭で流れた、娘を亡くしたマリーアントワネットの悲痛な叫び声にしてもそうだけど、美しい声の女性の悲鳴には、その場の空気を全て持っていくだけのパワーがあるのだということを実感した。


ちなみに、この日はLouisの間奏部での、昨年からの引き続きの声優演出のときにも、サンジェルマン伯爵だかベートーベンだかの声だけがフロア後のスピーカーから聞こえてきて、それを聞いた瞬間もまた鳥肌が立った。

ライヴで鳥肌が立つことなんて普段ほとんどないのに、去年からのKAMIJOの演出では同じところで何度も鳥肌を立てている、単純な私である。先がわかっているのに、このLouisの演出には何度でも繰り返し心を動かされてしまう。なんなんだ。


カストラートの話に戻ると、この日は、マリー・テレーズのこの悲鳴と、そこに至るまでのシナリオと、カストラートという曲自体、全てがぴったりはまっていたのがまたよかった。

カストラートのイントロのあの不穏さ、恐怖や終幕がひたひたと忍び寄ってきている雰囲気。それが今日のストーリーの流れの中ではとてもよく生きていて、映画音楽感というか、極めて適切なBGM感があった。また、本イントロの拳部分に入る直前の、あの一瞬の音圧というか、圧倒感も元々大好きなんだけど、この日はセリフからの流れの中でその部分がちゃんと存在感を出していて、最高だった。一連の流れに完全に心を持っていかれて、茫然としちゃって、拳を上げる気にならなかった。

カストラートのイントロから曲前半にかけてのKAMIJO自身も結構よかった。重苦しいストーリーの世界にしっかり入り込めていて、曲に負けないだけの謎な迫力と、妖しさがきちんと出せていた。カストラートはあまりにも世界観が完璧な曲なので、前日みたいにKAMIJOの気が抜けている状態で臨まれると実に最悪なカラオケ仕上がりになって興醒めだが、これくらいいい状態で歌ってくれると非常に見応えがある。



しかしながら、この日のキネマでのいいライヴを観てもなお、声優のセリフでストーリーを進めていくという去年からの演出は、やっぱりSymphony of The Vampire曲よりもSang曲の方に合っているような気がまだしてはいる。

Symphony曲は、元の曲の歌詞自体でかなりの情報を説明してしまっているから、そこにさらに演出を足すとくどくなる。

今日の本編後半のThroneも、歌自体や、Throne→運命→Throneの流れや、雨の中でたった一人で唐突に人生演歌(運命ね)を歌い出す演出自体はとてもよかったし、私はああいうKAMIJOが大好きなのでかなりテンションが上がったけれど、セリフに関してはかなりくどく感じられた。心臓をガラスの玉座に載せるくだり、もう十分に歌詞で説明しているから、敢えて劇場型のセリフでまた同じ説明を重ねる必要ないじゃん!っていう。

その点、アルバムSangの要の曲、カストラートやSang IやSangIIには、あのセリフを合わせた演出がとても合う。Sang曲だと、例え曲の途中でセリフを挟まれても過剰に感じない。オリジナルの音源だけでは表現し足りていない部分を、映像とセリフで正しく補えていて、過不足がない。

やっぱり、表現というのは微妙なバランスがほんとうに大事なんだろうなあ。難しいね。



他、ストーリーや声優の演出云々から離れたところでは、この日は幻想トリアノンがとてもよかった。

この曲、別に好きじゃないんだけど、キネマで観るとなぜかめっちゃいい仕上がりになることがあるんだよね。2014年の初ライヴで観たときもそうだったし、2018年頭の信念會のときもよかった。音源より生の方がいい。あの曲の持つ、静かな劇的さがあの会場に合うんだろうか。

最近のKAMIJOライヴは映像や声優のセリフありきで考えてしまいがちだけど、この日の幻想トリアノンにおいては、シンプルに曲自体と歌と演奏と照明だけで、十分いいものが表現できていた。


あとは、この日もSang IIIは歌われず、アンコールで歌われたのは日本語版のSang〜君に贈る名前〜だった。

私は日本語版よりも元のSang IIIの方が断然好きなので、そっちを歌って欲しいのだが、この日の曲前のMC(今回、ルイ17世の虐待シーンを初めて明確に描いたのは、虐待のない世界を作りたいからだ、という非常に唐突なもの)からすると、今ツアーでは日本語版しか聴けないかもしれない。

前に書いた通り、この日本語版Sangの歌詞は、KAMIJOが描いているルイ17世の虚構ストーリーの文脈で聴くと、というかLouisの例の演出の後に聴くと非常によくて感動的ではある。しかし、この曲の歌詞を現実世界にまで一般化すると、かなり微妙というか、正直言ってやばめの内容なので、それを虐待根絶の祈りをこめて歌われても全く理解し難いし、冷めた目で眺めるしかなくなってしまう。

ウェブインタビューで、KAMIJOは「この歌の少年は自ら死を選んだわけではないから、そこだけは誤解しないで」みたいなことをはっきりと言っていたが、そう言われて再度歌詞を読んでも、やはり自ら死に向かって行った者(外圧によって死に向かわざるを得なかったとしても、現象自体は同じである)と、その決断を美化する内容としか私には解釈できない。

まあ、犠牲の愛が大好きで得意なKAMIJOと私では根本的な価値観が違うのでそこは仕方がない。それはわかってはいるのだが、この手の話は虚構のストーリーの中でだけ完結させて欲しい、現実的な文脈で話し出さないでくれ、わけわかんなくなるから、というのが私の本心である。


しかし、その「虐待のない世界を作りたい」という文脈の中でSang〜君に贈る名前〜を歌った後に、「皆でつくっていきましょう、理想世界を!」的なことを言ってノスフェラトゥに入ったのは面白かった。

だってノスフェラトゥのいう理想世界って、自らの信じる教義を貫くためには世間一般の倫理や道徳に背いてもよいとするやばい思想に基づくもので、KAMIJOが日本語版Sangの前にMCで言っていた虐待のない理想世界とは、ある種真逆のものだから。

この日の前半のセリフにあったように、サンジェルマン伯爵は、自らの理想を実現するために、罪のない子供を誘拐させてルイ17世の身代わりとして幽閉し、虐待の末に殺してしまうことをもいとわない、端的に言ってやばい奴なのである。

ノスフェラトゥは、そんなサンジェルマン伯爵ルイ17世がタッグを組んだ時の狂信的なかんじがとてもうまく表現されていて、勢いがあって好きな曲だけど、この日のように現実的な文脈の中で歌われると、どうしても「えっ」となる。


まあ、この日のカストラート演出にしてもそうだけど、あまり曲自体のオリジナルの歌詞だったり世界観だったり立ち位置だったりに固執しすぎないで、その曲の持つざっくりした雰囲気や、断片的な歌詞のキーワードから他へつなげていく方が、新しく展開を広げていくことができるという意味で正しいやり方だとは理解できる。

だけど、やっぱり私は、一つのライヴの中では一つのストーリー世界だけを見せて欲しいし、アンコールだからといって、ストーリーに強く紐付いた楽曲を無理に現実世界と結び付けないで欲しいと思ってしまう。

私が観に来ているのは、あくまでKAMIJOの作り出す虚構の世界の話だから。彼の個人的な願いは、歌詞やストーリーに込めて世の中に発表してくれればそれでよくて、あれだけ濃い世界観のライヴ中に、現実世界の話を無理のある文脈で混ぜ込まれても受け止め方に困る。



まあ、全般的にいいライヴだっただけに、細部について思うところはあったが、とにかく柏の後に感じた不安が消えて、このままこのツアーも楽しめそうかなと思えたのはよかった。

オーケストラライヴもほんとうに楽しみ、キネマの状態を保ってやれれば大丈夫。オーケストラアレンジには何の心配もしていないので、当日のオーケストラといつもの楽器隊と歌の音バランスがまともであることと、KAMIJOが自分の歌に集中できていることを祈る。

Epic Rock Orchestra追加公演のときのようなことになりませんように。頼むぞKAMIJO!


感想ツイート




過去記事



KAMIJO Sang Project Act VI Live Tour 2019 “Symphony of The Vampire” -Prelude- @柏PALOOZA

KAMIJOのSymphony of The Vampireツアー初日、FC限定の柏PALOOZA公演に行ってきた。

極めて残念な結果でした。
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目次


セットリスト

Emigre
闇夜のライオン
Vampire Rock Star
Ambition -Interlude-
Sang I
Sang II
Sang 〜君に贈る名前〜
Presto
Sacrifice of Allegro
Royal Tercet
Dying-Table
Sonata
満月のアダージョ
Throne


Moulin Rouge
Vampire Rock Star
Nosferatu

Throne(SE)
Theme of Sang(音源)


ライヴ感想

去年の秋の、FC限定@池袋Black Holeのライヴのときに、なんだかふっつーのライヴだなあと思ったけれど、今回は、普通どころか、普通以下の仕上がりだった。

KAMIJOの歌は、終始ボロボロ。歌が安定しないだけならまだいいが、そもそも全然集中できてない。気楽に歌いすぎて、歌と表現が曲やストーリーの重さと全然合っていない。リハーサルじゃないし、カラオケじゃないんだよ、と久々に思ってしまうくらいのレベルだった。

KAMIJOよ、歌の調子が悪いのはしょうがないとして、もっと集中してくれ。頼む。


今日のKAMIJOには、去年のライヴで見せてくれた、ド集中も、妖しさも、気高さも、何もなかった。Symphony of The Vampireをフルで歌ってThroneまでいっても、父親のルイ16世から引き継いだ雄偉な王の面影は全くなくて、ただただ苦悩と迷いと弱々しさだけが感じられる仕上がりになってしまっていて、とても残念だった。

私がKAMIJOソロに求めているのは、気高さであり、困難を乗り越えた者の強さなんだ。それがないKAMIJOソロには魅力を感じられない。Holy Grail後の、Versailles末期のKAMIJOにはなくて、ソロのKAMIJOになったら即復活したもの、それが気高さ。私が観たいのはそれ。


セットリストは、Sang I、Sang II、日本語版SangからのSymphony of The Vampire通し演奏で、ある意味とても贅沢だったのだが、KAMIJOの調子は終始悪く、Sang3曲も、Throneも、最悪レベルの出来だった。こんなんなら行きたくなかった、と思ってしまうくらい。終演後、最後にお決まりで歌うTheme of Sangの「just like the air」の方が、Sang IIのその部分よりよかったりした。

KAMIJOの調子がよくないことは本編前半でもうわかったが、どこか他に楽しめるところはないかと結構必死で探したけれど、今日の彼は髪型も、メイクも、衣装もあまり好きではなく、最後まで気持ちを上げられる点が見つからないままライヴが終わってしまった。

以前のように、本編もアンコールもしっかり派手衣装を着て歌って欲しいんだけど、ラフ路線に行ってしまった今となってはもう無理なんだろうか。



楽器隊は相変わらず非常に安定していて、Mekuのギターもよかった。それは救い。Sang IIのギターソロも、ラストの締めもとてもよかった。

しかしながら、私の立っていた位置が悪かったせいなのかなんなのか、今回はAnziのギターがいつも以上に聞こえなかった。音量でいうと、Mekuの1/3程度でしか聞こえなかった。去年12月のThe Sangsのときも、なぜかAnziのギターが全然聞こえなかったのだが、位置の問題なのか、それとも元からそういう設定なのか?

まあMekuがリードギターなのでMekuのギターの方が音量大きめ設定なんです、と言われればある意味納得はするが、とはいえAnziもギターソロを持ってるので、その部分だけでももっと音量あげたらいいのにと思ってしまう。二人のギターの音量差が激しすぎてバランスが悪い。



あと、今回のライヴでは、映像演出や声優さんの演技にも引き続き期待していたけれど、ちょうど1年前の3月に初めてこの演出を体感したときほどの、新鮮さも、驚きも、感動もなかった。

Sangツアーの演出に関しては、2018年7月のツアーファイナルでも、その後の12月のThe Sangsでも、ほぼ同じ演出で既にネタバレしているにもかかわらずまたもや大感動して泣くということをしてしまった私であるが、今回は全く感動しなかった。心動かされるポイントがなかった。

まだ新ツアーの初日で、シナリオも一つしか見ていないので、断定したくはないのだが、今日のライヴを観ていてなんとなく感じたこととしては、Symphony of The Vampireには、Sangのときほど映像と声優の演出がはまらないのかもしれない、ということだった。

Sangの、演歌メロディーに英語詞が乗ったKAMIJOの歌に、声優のセリフや映像が加わると、非英語話者の私にとっては謎の映画感が感じられ、臨場感が増して非常によい。

一方、Symphony of The Vampireは元から日本語詞で、しかもいつものKAMIJOの歌詞よりも説明口調の独特の文体で書かれている。そこにさらに映像とセリフが乗っても、特に新鮮さはないし、元の歌詞の中で既に状況や心情が十分に説明されている以上、むしろくどく感じさえする。

今日のライヴを見て、あの演出はSangのアルバムの曲たちに合わせたからこそ最高だったのかもな、と初めて思った。そういえば、Sangツアー後のTOKYO BASTILLEも、ライヴ自体は毎回かなり楽しかったしよかったけれど、物語や声優さんの演技は特に必要だと感じなかったし。なんでも相性なんだね。



1年前の、Sangツアー初日の鹿鳴館では、あの演出を見てあんなにも気持ちが高揚したのに、今回のツアー初日は正反対の結果になった。

え、ほんとにこのままいくの?これでいいの?あのSangツアーの後にKAMIJOがやりたかったこと、客に観せたかったステージがこれなの?と、この先がちょっと心配になったけど、杞憂であることを祈る。取り敢えず、今月末のオーケストラライヴまではきちんと観て、もしそこまで観てもあまり好きではなかったら、その後のライブ回数を減らそうかなあと思った。

まあ冷静に考えると、去年、2018年のKAMIJOが、あまりに神がかりすぎていたんだよね。夏のTOKYO BASTILLEの最初の5days、特に渋谷の3daysは、毎回毎回ほんとうに文句なく楽しくて、テンションが上がって、しかもその楽しさが回を追うごとにどんどん上がっていくというすごい経験をしたけれど、あれが当たり前だと思っちゃいけないんだな。

まぁ、今日はFC限定のツアー初日ということで、この後も、ツアー本編がどうなるか、まだ楽しみにしています。


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