Versaillesという私の一番好きなバンドが去年6月から結成15周年のアニバーサリーツアーを断続的に行っており、私は喜び勇んで地方も含め全ての公演に参加してきたのだが、
その最後のライヴツアーだった今年2月のHoly Grailツアーの、ファイナルである2023年2月12日の大手町三井ホール公演のアンコールで、ドラマーのYUKIの活動休止が発表されてしまった。
アンコールでメンバーが出てきてKAMIJOがちょっとしゃべって、「Versaillesの未来の話をします。その前に、YUKI君からお知らせがあります。」と普通の明るめ口調で言ったのだが、「YUKI君からお知らせ」と言われた瞬間に私は「ひっっっ…」となったし、なんなら声にも出てたかもしれない。他の客も同様に感じた人が多かったのか、YUKIがしゃべり出す前の時点で場の空気が凍った。
いや、でももしかしてもしかすると日本酒関連の宣伝とか?などと一瞬考えるも、ドラムセットの奥で立っているYUKIの雰囲気から、そんなよいお知らせではないことはすぐにわかった。
その後、YUKIのしゃべり出しが「はい、YUKIです。僕は、2013年をもって…」(KAMIJOに「2023年ね、」とつっこまれた)だったので、「あっ、はい、へー、なるほど、…うっわー」と一瞬でいろんなことを思いながら、続く言葉を聞いていた。
この日のライヴでYUKIが喋った内容は公式サイトに大体そのままの形で載っている。
Versaillesドラマー・YUKI 活動休止のお知らせ
平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。
Versailles ドラマーのYUKIは2020年2月に持病のジストニアを公表して以来、様々な治療やプレイスタイルを模索し活動してまいりましたが、本人の申し出によりドラマーとしての活動を2024年以降お休みさせていただく事となりました。
バンドとして、「ジストニアの治療に専念したい」「サポートを必要とする家族の為に時間が欲しい」というYUKIの思いを尊重しようという結論に至りました。
2024年以降は4人で可能な限りの活動を行ないながらYUKIの経過を見守りたいと思います。
今後ともVersaillesへの温かいご支援、ご鞭撻を賜れますと幸いです。
2023.2.12
Versailles一同
以下はYUKI本人のコメントとなります
突然の発表でごめんなさい。
色々な理由があって、ここ暫くずっと悩んでいました。
まずは右足のジストニアの事。
それを補うために下半身だけ左利きでやったり、色々模索しましたが、ジストニアになる以前のプレイを維持できない事への葛藤が日々強くなりました。
あとは家族の問題もあって、プロフェッショナルじゃない発言かもしれないけど、サポートが必要な家族の側に居られないのは本当に辛い。出来るだけ側に居たい。
色んな事が重なっていく中で
苦しくなって 辛くなって
僕はメンバーと同じモチベーションでバンドを頑張れないと思ったんです。
でも、ずっと一緒にやってきたメンバーに申し訳ない。ファンのみんなに申し訳ない。
そう思うと、なかなか言えなくて、苦しんでました。
そして、もう限界だってなった時にメンバーに話しました。
メンバーからは「YUKIくん以外のメンバーは考えられないから待ってるよ」って、言ってくれました。
嬉しかったです。
ファンのみんなには、本当にごめんなさいって気持ちでいっぱいです。
だけど、僕はドラムもVersaillesもまだまだ全然大好きなんです。
だから、みんなの前でまた叩けるように、僕にお休みをください。
どれくらいになるかわからないけど
必ず帰ってきます。約束します。
www.versailles.jp
公式サイト掲載の文章は、YUKIが喋った内容そのまんまではなく、一部切られてる。「プロフェッショナルじゃない発言かもしれないけど」の後に「僕は、家族のことがほんとうに大事なんです。」みたいなこと言ってたと思う。
発表直前の雰囲気からは脱退発表かと思ったけど、実際には脱退ではなく、活動休止発表だったのは救いだった。今年いっぱいは活動して、2023年12月14日がYUKIの活休前のVersaillesラストライヴ、そして来年以降は期限を決めずに活動休止だそうです。
YUKIのことは、2008年からVersaillesやその後のKAMIJOソロのライヴで断続的に見てきた。
2016年にVersaillesが活動再開して、VersaillesでもKAMIJOソロでもまた彼の姿を見られるようになってしばらく経ってふと気がついたら、ライヴ終了後にステージ前方に立つ際に、こわばった顔つきや、心ここにあらず的な放心雰囲気を出すようになってきていて、そしてコロナでほとんど見られなかった2年間を終えて2022年にKAMIJOソロのライヴハウスライヴで久々に近距離で観たら、健康面が心配になるくらい明らかに顔が激やせしていた。シュッとした、とかじゃなく、げっそりしていた。
でもまあライヴ中、特にMASASHIやRENOと絡んでいるときは楽しそうな笑顔も見られるし、歳をとったら誰でも太ったり痩せたりするし、ジストニアのことも知ってたけど素人からすると問題なく叩けているように聞こえるし…などと楽観的に考えて、あんまり具体的に心配してはいなかった。なんの根拠もなく、ずっとYUKIのドラムが観られるような気がしていた。
それでも、今回のツアーファイナルで「YUKI君からお知らせ」と言われた瞬間に「あっ、辞めちゃうんだ、」とすぐ思ったくらいには、ただのファンにも目に見える予兆はあったっちゃあったよね。まあそんなん、後になってからならいくらでも言えることだけど。
14年前にベースのJasmine Youを失っているVersaillesのファンとして、このバンドというかメンバーに望むことは、優先度高い順に
- 死んでほしくない
- 心身ともに健康で幸せでいてほしい
- 濃く長くバンド活動してほしい
なのですが、今回は「2と3が相反してる」ってライヴの場ではっきり言われてしまったので、バンド活動の客である私は普通にショックというかダメージを受けた。
いや、1が一番大事、次が2、それはほんとそう、だからバンドを脱退して仕事辞めたって別にいいから生きていてほしいし健康でいてほしい。それはそうなんだけど、でもやっぱり私はこのバンドもYUKIもどうしたって好きだから、ステージ上でバンド活動しているところをフロアや客席から遠目でずっと見ていたいというのも正直な気持ちで。
なので、完全につぶれてしまう前に活動休止してくれて、発表してくれてよかったな、と思う反面、今年後半も来年以降もVersaillesの活動があるんだろうなと勝手に想像して楽しみにしていた分だけ、来年以降少なくとも数年間は彼のドラムを観られないであろう現状が悲しかった。
正直私は今日になってもまだショックを受けているのですが、12月14日の活動休止までまだ何回かはライヴを観られるはずなので、それまでの時間を大事にしたいと思います。