KAMIJO Sang Project Act VII Dream Live “Symphony of The Vampire” KAMIJO with Orchestra@EX THEATER ROPPONGI

2019年3月27日、EXシアター六本木で行われた、KAMIJOソロのオーケストラを率いたドリームライヴ。

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ライヴが終わってから、何度もレポを書こうと思ったが、どうも書き始められなかった。書いてしまうと、あの日の感動を、文章の中だけに閉じ込めてしまうような気がしたから。

でも、このまま何も書かないでおくとほんとうに全てを忘れてしまうので、公式に映像化される前に、まずは私の記憶をここに書き記しておく。

私の視界の記憶というよりも、例によって私の感情の記憶と懐古がメインだけれど。


目次


セットリスト

Prologue(Symphony of The Vampireメインメロディ)
Dead Set World
Theme of Sang
Nosferatu
Heart
Delta -Interlude-
Castrato
Ambition -Interlude-
Sang I
Sang II
Sang III(オーケストラのみ)
Presto
Sacrifice of Allegro
Royal Tercet
Dying-Table
Sonata
満月のアダージョ
Throne

この世で一番美しい薔薇よ
Louis 〜艶血のラヴィアンローズ
Throne(いつものSEのオーケストラ版)

Theme of Sang(音源)


ライヴ全体のざっくり感想

全体通して、ほんとうに素晴らしいライブで、何の心配もいらなかったし、残念な点もなかった。

数年、いや数十年に一度という、ここぞというところでこれだけ完璧な結果を出せること、これがKAMIJOソロの実力であり、そして今の勢いなんだと思う。

2017年のEpic Rock Orchestra追加公演や、Versaillesの武道館公演で感じたような、ここぞというところでなのに決めきることができず、なんなら普段より悪い結果になってしまったあの残念さ、あれを完全に払拭できていたライヴだった。

そして、こんなに繰り返し涙が出ることってあるんだ、こんなにも鳥肌が立ち続けることなんてあるんだ、と自分でもびっくりするほど、心動かされるライブだった。ライヴの序盤から、「KAMIJO、こんな素晴らしいものを観せてくれてありがとう」という気持ちでいっぱいになった。

以下、いつもよりさらに脈絡のない長文で、今思っていることを書く。

2018年以降のKAMIJOについて

2018年3月にリリースされたSangは、まず音源自体が素晴らしかったのはもちろんだけど、その後のライヴハウスでのツアーも、席ありでのツアーファイナルも、年末に再度見せてくれたディレクターズカット版ライヴも、どれもとてもよかった。

概して、Sang発売以降のKAMIJOは、ほんとうにほんとうに、素晴らしかった。それ以前、KAMIJOソロの日本での初ライヴやHeartツアーもそれなりに観ていたし、それはそれで楽しかったけれど、あの頃とは比べ物にならないような別の次元で、2018年以降のKAMIJOは非常にいい状態だった。

そんなアルバムSang発売から一年が経った2019年3月27日、ルイ17世の誕生日に行われたのが今回のライヴ。2018年からの怒涛の流れも勢いも一切止めず、さらにそれまでにKAMIJOが積み上げてきた技術や経験を全部乗っけた、KAMIJOのキャリアの集大成のようなライヴだった。

「遂にここまでたどり着いた」感と、「連れてきてもらった」感

そして、なんだか「遂にここまでたどり着いた」という感じが非常に強いライヴだった。

別に私がどこにたどり着いたわけでもなく、単にKAMIJO自身が自分の努力でこの日のこの場にたどり着いたというだけであるということはわかっているのだが、それでもどうしても、自分も一緒にここまでたどり着いたような感覚を持ってしまった。非常に図々しいファン心理である。

その一方で、遠い昔に私が大大大好きだった小文字時代のDir en greyが大きい会場でライヴをやるようになったとき、あの頃の感情を久しぶりに思い出した。私が初めてホールでディルのワンマンを観た渋谷公会堂公演や、メジャーデビュー後に横浜アリーナ公演や大阪城ホール公演に行ったときに、「こんな大きいホールに私たちファンを連れてきてくれてありがとう」と、バンドに対して心から思っていたことがあった。ああいうのは、当時私が中学生で若くて、純粋にディル馬鹿だったがゆえの感情だと思っていたのだが、今回のライヴを観たら、20年ぶりにあのときと同じ気持ちになった。

この日は、やっとここまでたどり着いた感も、連れてきてもらった感も、どちらも同量だけ胸の中に存在していて、ライヴが始まったらその思いがぐちゃぐちゃに混じって、それだけで珍しく胸がいっぱいになった。

KAMIJOを初めて観てからの21年間と、再度知ってからの11年間

私はLAREINE時代からKAMIJOの存在自体は知っていて、ワンマンにも対バンにも、ロマンス革命にも参加してはいたが、当時は別にファンではなく、友達が余らせたチケットがあれば(単にタダだから)ライヴに行く、という程度だった。

LAREINEは、当時私が大好きだったDir en greyとメジャーデビューのタイミングが近かったため、メディア露出の時期や場所がよくかぶっていた。ラジオやイベントに出てきたKAMIJOがお決まりの第一声「ボンジュール、ハニー?」をひっくり返った声で言うのを聞くたびに、おっ、KAMIJOだ!とは思ったし、メジャーデビュー前後はアルバムも聴いていたが、別にそれだけだった。メタモルフォーゼと冬東京だけは今でも大好きだけど、他は、特に曲自体にもKAMIJO自体にもさほど興味を持たずに過ごしていた。

それから長い年月が経ち、大文字になったDIR EN GREYへの熱さも、現存するヴィジュアル系バンドへの興味もすっかり消え失せた(と思っていた)後の2008年春、たまたまウェブサービスで流れてきて知ったのがVersailles。あまりに好みの楽曲だらけなので調べてみると、ボーカルがあのKAMIJOではないですか。まだいたのね!しかも、まだ薔薇しょってるのね!

それで、2008年7月にやっと取れたチケで久々にライヴを観に行ってみると(同年5月の代官山UNITワンマンのチケはソールドしていて取れなかった)、相変わらずの癖のある歌い方と音程で、ヴィジュアル系らしくキメるところはキメつつも、MCはぐだぐだなKAMIJOがそこにいた。でも曲は間違いなくよくてライヴで聴いても負けないし、楽器隊のクオリティも申し分ない。そのまま、KAMIJOもVersaillesも好きになって、今に至る。

私がちゃんとKAMIJOを観始めたのは2008年からなので、LAREINEファンの人たちからするとKAMIJOファン歴は浅いのだが、それにしても11年というのは私からすると結構長い。この11年間、東京でワンマンライヴが行われれば大体行く、というようなかんじでKAMIJOを観てきたが、その中でもこの日のオーケストラライヴが一番よかったんじゃないだろうか。KAMIJO自身の思い入れが、彼のファンである私の思い入れになったという部分がかなり大きかったとは思うけれど、それを差し引いて考えても、この日のライヴはよかったと思う。

ライブ開始直後から泣く女

それで、なんかもう、KAMIJOの歌がどうとか、アレンジがどうとかそういうこと以前に(いやもちろんそれもよかったんだけれど)、KAMIJOがこの夢のオーケストラライヴを遂に実現したというその事実と、そこに至る背景に対してだけで既に感動してしまい、ライヴが始まって最初のSymphony of The VampireのメインメロディとDead Set Worldの演奏を聴いた時点ですぐさま涙腺が緩み始め(いずれもインストなのでKAMIJOの歌はない)、次のTheme of Sangで、オーケストラと、サポートメンバーのバンドサウンドと、KAMIJOの歌が見事なバランスで重なっているのを聴いて安心した直後に、もう泣き始めてしまった。

いつも、いくらよいライヴを観ても、今日は来てよかったなとか、あの曲のあの部分の歌や演出がよかったなとか、せいぜいKAMIJOは最高だな、天才だな(抽象的)くらいまでしか思わないが、この日のライヴは感動ポイントがあまりに多すぎて、KAMIJOへの感謝が止まらないというわけのわからない状態になり、ライヴが終わった後どころか、ライヴ中、いやライヴ序盤から「うわーKAMIJO、どうもありがとうありがとう、ほんっとうにありがとうございますこんな素晴らしいものを我々に観せて下さって(敬語)!!!」と心の中でひたすら思い続けながら、断続的にマジ泣きする、というやばい展開になった。お陰で、普段のライヴに比べて全然冷静に観られなかった。ある意味もったいないが、仕方がない。それだけ感動したのだ。

私はあまり感受性が豊かな方ではないので、KAMIJOのライヴでここまで涙を流したことはおそらくこれまでなかった。これまで、ライヴの最中に複数回涙がぼろぼろ流れるほど泣いたのは、Jasmine Youが亡くなった翌年の2010年の8月に行われた、名古屋ボトムラインでのVersaillesの追悼ライヴくらいではないかと思う。

あのときは、その追悼ライヴが素晴らしかったからとか感動したから、とかではなく、そのライヴ前日に全く別で行われたJasmineさんの前の所属事務所の社長主催の追悼ライヴの素晴らしさと、その翌日によりによって同じライヴハウスで行われたVersaillesのワンマンライブの陳腐さ、その対比に泣いたのだった。2日間、同じライヴハウスにいるというのに、その落差がほんとうにすごすぎて、私は一体何をやっているんだろう、こんな状態になったVersaillesに何を期待しているんだろう、というのが自分でもわからなくなり、あまりの情けなさ、不甲斐なさ、悲しさで、ベタな追悼曲を歌うKAMIJOをフロア数列目で見ながら、涙が止まらなくなったのだった。

2009年にJasmineさんが亡くなって、かなり多くのファンがVersaillesから離れたと思うし、それは当たり前だと思うのだが、私はKAMIJOの作る曲が好き、Versaillesのライヴが好き、というだけで結局は2012年の活動休止までVersaillesのファンでい続けた。さらに、その後は自分でもあまり予想していなかったことだが、こうやってKAMIJOソロにのめり込んでいる。

あの2010年夏の名古屋ボトムラインで、ああやっぱりもうだめだ、となって、その後Versaillesのライヴを観に行かなくなっていたら、2019年のこの素晴らしいオーケストラライヴの瞬間には立ち会えなかったんだなあと思うと、まあ色々あるけれども、自分がほんとうに好きなものについては一瞬で諦めたりしないで、長い目で見続けているといいことがあったりもするんだなあとか思ってしまうし、結局だらだらとVersaillesを観続けることにした自分の、ある種の怠惰さや薄情さに感謝したくもなる。

セットリストについて

で、やっとライヴ自体について。詳細は下で箇条書きするけど、ここではセトリについて。

この日のセットリストはまさに私の好きなかんじ、つまりはKAMIJOの王道セットリストで、とてもよかった。途中に休みを挟むとか、ちょっと一息つく暇を与えるとか、そういう発想が一切感じられない怒涛の展開。せっかくのオーケストラなので、mademoiselleとかMysteryとか、なんなら突然のLAREINEとか、そういういかにもオーケストラに合うような明るめの曲を入れて、気分転換代わりにしたりするという方向性もあったはずだが、今回のKAMIJOはそれを選択しなかった。

本編は、最新アルバムSangと、デビューミニアルバムSymphony of The Vampireの、濃いところを全て煮詰めたような構成で、つまりは私の大好きなセットリストだった。せっかくのオーケストラライヴ、だからといって、いらない曲はいらないから。ここぞというときに、こういう王道セットリストで真正面から立ち向かえるKAMIJO、とてもよいし大好き。

Symphony of The Vampireは間違いなく名盤で、その後に出たファーストフルアルバムHeartはそれに比べてしまうと傑作感が薄れていた。しかしその後、過去回顧ツアーの後に発売したカストラートで急激に持ち直し、そしてSangという超傑作を出してくれたので、その後の今というこのタイミングでオーケストラライヴをやってくれてよかった。KAMIJOの状態的にも、持ち曲的にも、申し分ないタイミング。オーケストラバージョンで聴くSang曲の映え方といったら凄まじい。完全に音源を超えていたもんね。

たまにライヴを観ていて、「今日はこの曲1曲だけでチケット代の元を取ったな」などと思うことがあるが、今回のオーケストラライヴに関しては、このチケット代では払い足りていない…と本気で思うほどだった。今回、私はステージにあまり近すぎるところで観たくなかったのでS席を取ったのだが、その上のスペシャルシート(だっけ?)くらいの額を払うべきだった、と後から思った。席自体はS席でも十分で、音的にも視界的にも全く不満はなかったのだが、あのライヴが12000円だったと思うと、払い足りていない感がすごい。私はケチなので、好きなアーティストのライヴだからといって、チケット代が払い足りていないと思うことなんて普段はほとんどないのだが。まあ、その払い足りていない分は、このオーケストラライヴのDVDや今後の音源、ライヴに払っていくことにする。

最高なサポートメンバー布陣と、Anziのサポート休止について

サポートメンバーは、この日も全員完璧な仕事だった。

一時はKAMIJOと色々もめた挙句、Versailles解散の一因にもなってしまった(ということになっている)YUKIが、今は大勢のオーケストラの中で一番高いところに位置して、こんなに長いセットリストの曲を、全曲通して叩いている。もうそれだけで感動してしまう。YUKIのドラムはほんとに好きなので、サポートに来てくれて嬉しい。

Mekuはいつもクールな印象だが、この日の彼は結構熱かった。オーケストラをバックにお決まりのハイキックをかましたりと熱い印象ながらも、決めるべきところは確実に決め、常に冷静で大ミスをしない。決して自分が前に出すぎずに、主役のボーカルや曲全体を確実にサポートできる、サポートメンバーとして極めて優秀なギタリスト。この先、もしMekuがサポートから抜けてしまうようなことが起こったら、それはKAMIJOソロの終わり、少なくとも衰退を覚悟しなければならないときだと、私は大真面目に思っている。それくらい大事な人。

MASASHIもいつも通り安定。Sonataでは、KAMIJOとこの曲でのいつもの絡みを軽くやっていて驚いた。この日のライヴでは、いつもはお決まりのそういうメンバー間絡みとかはやらないのかなあと思っていたので。

最後に、Anziについて。私は摩天楼オペラファンではないので、彼自身に特別な思い入れはないのだが、2008年に私がKAMIJOを好きになった頃には、Versaillesが同じSherow事務所にいた摩天楼オペラとよく一緒にライヴをしていたので、必然的に観る機会が多かった。その後はずっとご無沙汰だったが、Anziが摩天楼オペラを脱退した後にKAMIJOソロのサポートに入って、また彼を観るようになった。

そしたら、なんだか昔に比べて顔がシュッとしていて、以前の印象よりも綺麗な顔になっていた。今のKAMIJOソロのステージ上には、ああいう線が細い系の顔(2次元の美少年アニメに出てきそうな顔、似顔絵描きやすそうな顔)の人はサポートメンバー含めていないし、ステージの見栄えや、ファンの好みのバランスを取るにもよい顔ではあると思った。Anziのギターに関しては、サポートメンバーにしてはちょっと派手すぎというか、「俺が俺が」感が結構強く出ていて、あくまでKAMIJO本人が一番好きな私からするとMekuのギターほど好きになれなかったのも事実なのだが、それでも、Anzi以前のサポート下手ギターに比べたら安定感があって断然よかった。

なので、彼が抜けてしまうのは寂しい。毎回のライヴでこれだけのクオリティーでギターを弾けて、見栄えもよくて、ついでに言うとライヴ動員や物販にもきちんと貢献できるサポートギターなんて、他にいるのだろうか。抜けることが発表された後になって、あー、Anziはいいサポートだったなあ、と思ってしまう。

今後、新しい下手ギターが入るのか、はたまた、しばらくはMeku一本でいくのか、どうなるんだろう。以前のサポート下手ギターみたいな中途半端な人を入れるぐらいなら、誰も入れないでいてくれる方が私は嬉しいのだが、そうするとNosferatuなんかでのあのツインギターの派手派手しさは失われてしまうと考えると、それはそれで寂しい。

改めて考えると、2018年3月のSangツアー開始時から、あれだけ素晴らしい楽曲たちを、あれだけ素晴らしい演出で、そしてあれだけ素晴らしいサポートメンバーメンツで毎回観られていたのは奇跡だったんだなあと思う。ベースは途中で時雨からMASASHIに変わったけれど、私はMeku、Anzi、MASASHI、YUKIというこの日の布陣が今までのサポートメンバー体制の中で断トツ一番好きだった。一番好きなサポートメンバーの演奏で、これまでで一番好きなソロアルバムのツアーやライヴをかなりの回数観られたのは、実に運がよかったし、Anziには感謝している。できればまたKAMIJOのサポートに帰ってきて欲しいな。

以下、細かい話(思い出したら随時更新予定)

  • この日のライヴ、終始座ったまま観るつもりで勝手にいたのだが、いざライヴが始まったら周りの観客たちが特に躊躇ないかんじで一斉に立ち上がったので、ちょっと驚いた。私は、2017年にキネマで観た室内楽コンサートのようなつもりで来ていたが、蓋を開けたらオーケストラコンサートというより、完全にいつも通りのロックライヴだったし、立ち上がった客たちは正しかった。

  • この日の演奏全般について言えることだが、耳が足りなかった。全っ然足りない。オーケストラライヴが行われることはだいぶ前から告知されていたし、告知の時点で何が何でも観に行くことは決めていたので、「当日は、あの曲のこの部分やこの楽器の音に注目して聴きたいなー」みたいなところはたくさんたくさんあったのだが、いざその場に立ってみると、オーケストラの演奏とサポートメンバーの演奏とKAMIJOの歌と同期で流れている音、その全体の音の完成度に圧倒され、あまりに感動してしまい、細部をあれこれと聞き分ける能力も余裕も記憶力も、全てが一瞬にして失われてしまった。

  • そして、目も足りなかった。私は一応KAMIJOファンなので、普段はKAMIJOばかり観ているが、この日はただでさえステージが広いのに、KAMIJOもサポートメンバーもオーケストラも気になるし、ていうかオーケストラだけで何十人もいるから一視野に入り切らなくて全然見切れないし、ということで、目移りしすぎで大変だった。このあたりについては、後で映像を観るしかないのだろう。あまりに贅沢だった。

  • バイオリンとかチェロとか、もっと弦楽器にばかり感動するかと思っていたが、実際に聴いてみると、管楽器の威力が予想よりはるかに上をいっていたのが意外だった。

  • Heartやってくれたのすごく嬉しかった。生で絶対聴きたいと前々から思っていたところ(1回目のサビの裏の弦楽器メロディ)があったのに、Heartをやってくれたという嬉しさで全てあっさり聴き逃した。

  • カストラートのイントロがやばい、やばすぎた。イントロ入りの、静かに忍び寄る終幕や恐怖の予感、畳み掛ける管楽器、そこからの迫力の変拍子、からの急速展開と4拍子への展開、さらにはその一瞬の照明効果。元々、カストラートは音源発売時から大好きだったし、ライヴで聴いていても、KAMIJOが歌い出す前のこのイントロの部分が最も好きだったのだが、今回のライヴで遂にそのイントロ完全版を見た。今年3月からのSymphony of The Vampireツアーでは、カストラートの入り前に声優の演技が重なって、それはそれは劇的なカストラート入りになっていたんだけれど、この日のライヴではそのような演出は一切なくて、なのに、今まで聴いたどのカストラートよりも劇的だった。下の感想ツイートにも書いたが、このカストラートのイントロの数十秒間で、鳥肌が波のように何度も繰り返し押し寄せてきて、私の体温調節機能はここで完全に死んだ。そしてまた泣いた。

  • その凄まじすぎるカストラートからの、Sang三部作。攻め続けるセトリが最高。Sang IもSang IIも終始迫力がありすぎてすごかった。この日のSang IIIが歌なしのオーケストラバージョンだったのは意外だったけど、あれはあれでよかったかな。そしてその美しさにまた泣いた。

  • 今回はSymphony of The Vampireというライヴタイトル、ツアータイトルではあったが、オーケストラのアレンジは、Symphony of The Vampire曲よりも、Sang曲の方がより合っているなあと感じた。

  • Prestoは、圧倒されてあっけにとられている間に終わってしまい、これといって何も覚えていない。Sacrifice of Allegroのイントロはいつもと全然違う感じで、迫力があった。Dying-Tableは、私の期待していた方向ではなかったが、違う方へかっこよかった。そしてSonata。イントロでのバイオリンソロ(あれはソロというのだろうか?)のメロディを、スポットライトを浴びながらバイオリンで奏でるコンマスのクラッシャー木村さん、めちゃくちゃかっこよかった。こういうときに、自分やサポートメンバーだけでなく、オーケストラにもピンスポを当てられるKAMIJO、正しい。

  • この日のKAMIJOの歌は、Sangよりも、Symphony of The Vampireとか、Louisの方がよかった。Sang IIの聞かせどころ、just like the air部があんまりよくなくて、満を持した感もなくやや遅れてお立ち台に上がり、そのままのっぺりと終わってしまった。一方で、満月のアダージョのラストの「全て捧げよう」はよかった。Sang三部作を聴いた後に聴くSymphony of The Vampireの第六楽章のラストのこの歌詞、ルイを救い出したベートーベンを始めとして、彼を守ってきた多数の人たちの想いや、彼らが犠牲にしてきたものなど、全てがこもった非常に厚みのあるメッセージとして聴こえてきて、すごくよかった。

  • そして去年から、声優演出によって散々泣かされてきたLouis。ラストのラヴィアンローズ部分、ここは普段のライブでも、大抵の場合大体いい歌が聴けるんだけれど、この日もまたよかった。ルイ17世に焦点を絞った今回のライヴで、Louisがよい状態で聴けたのはとても嬉しかった。

  • 下の感想ツイートでも書いたのだが、この日のアンコールで、最初にVive le Roiコールをたった一人でした人、その人(どこから声が聞こえたのかも忘れたし、誰かは知らない)は、ほんとうに偉い。この日のコンサートの隠れた功労者といってもよい。ああいう行動、なかなか取れないよね。素晴らしい。



感想ツイート

ライヴ自体について


Anziのサポート終了について



全体通して、とってもいいライヴだったし、とってもいい体験ができたし、KAMIJOのことがより好きになった。

おめでとうKAMIJO、ありがとうKAMIJO。これからも期待している。

しかしあまりに感動しすぎて、ライヴの細部をほぼ覚えていないので、実際のライヴがどうだったか詳細を知りたい人はDVDまたはBlu-rayを買いましょう。私も買う。ライヴアルバムも出るよ。


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過去記事