KAMIJO 「Sang 〜君に贈る名前〜」リリース

KAMIJOソロの最新アルバム「Sang」のラストに収録されている、最高のエンドロール曲「Sang III」が、日本語詞になって7/18にシングルとして発売された。

Sang ~君に贈る名前~ (初回限定盤)

Sang ~君に贈る名前~ (初回限定盤)

  • アーティスト:KAMIJO
  • 発売日: 2018/07/18
  • メディア: CD
Sang (完全限定受注生産豪華盤)

Sang (完全限定受注生産豪華盤)

  • アーティスト:KAMIJO
  • 発売日: 2018/03/21
  • メディア: CD

Amazonであらかじめ予約して購入してはいたけど、今週からやっと聴き始めたので、その第一印象をざくっと記録しておく。

この後、ライヴで繰り返し聴いて、曲の印象や捉え方が変わっていくのが楽しみ。


Sang 〜君に贈る名前〜

  • 表題曲。上に書いたように、アルバムのラスト曲Sang IIIの日本語詞版。
  • KAMIJOお得意の犠牲の愛の歌、ここに極まる!というかんじ
  • Sang III同様、曲はとてもよい、しかし歌詞がきつい。歌詞というより、この歌詞のベースとなる、自己犠牲の価値観が非常にきつい。

  • アルバムSangのなかのSang IIIは、あくまで一つの架空の物語の中で、「生かされた」存在であるルイ17世が、未来のために犠牲の死を遂げた身代わりの少年をはじめとする人たちに向けて送る鎮魂歌、という理解ができるけれど、このシングル版のSangは、固有の物語の枠を超えて、もっと一般化した歌詞になっている
  • シングルは、幼くして命を落としてしまった少年少女へ贈る歌、という風に、対象がかなり拡大されている
  • で、その少年少女が、「この道しかないから」と、茨の道を行くことを自ら決断して進んでいき、死んでしまった、という内容になっているので、うわ、と思ってしまう
  • 幼い命が犠牲になって、今や未来を作ったという考え方は、物語化しやすいけれど、それは架空の物語の上でだけで、現実として考えると全くもって美しい話ではない。むしろ一番美化しちゃいけない部分だと思う
  • ましてやその犠牲になった少年少女が、「自ら」死へと続く道を選んだとか、ただの歌詞とはいえ、いやいやいや、ないわ、と思ってしまう
  • 胎内記憶の「被虐待児も、虐待する親を自ら選んで生まれてきた」思想とか、戦争時の特攻隊とか、そういうのを想像してしまうわ
  • 「どうして?」もなにも、そのときの彼らにはそれ以外に選択肢がなかったからで、それは別に自由意志による選択ではないぞ
  • その死を悼むのは自由だが、それを「彼らは自らの意志で犠牲になった強き戦士」なのだと解釈するべきではないぞ、としつこくつっこみたくなってしまう

  • そんなことを思う一方で、先日のSangツアーファイナルでLouisの次に歌われたこの曲は素晴らしかった。
  • あの日のライヴで初披露だった新曲なのに、初聴きでもしっかり歌詞が聴き取れて、言いたいことがよくわかって、Louis後に歌われることで文脈上の流れも完璧で、うわー泣けるー!ってかんじであった
  • この、初聴きなのに次に続く歌詞が自然と予想できる、というようなベタベタなところがKAMIJO曲のよいところで、日本語詞じゃないとやはり若干そのよさが弱まる。
  • Sang IIIは英詞でも、物語のエンドロール曲としてものすごくいいんだけど、歌謡曲っぽさ、ディナーショー感、KAMIJOならでは感を楽しむには、やはり日本語詞の方がいいなあと思った

  • シングル版Sang、KAMIJOがソロでやっているルイ17世の架空の物語の文脈上ではかなりよい曲であることは間違いないんだけど、広く一般化された曲として単独で聴くとしんどいなというのが、正直な感想。
  • KAMIJOの自己犠牲概念、ソロでやってるような架空の物語内ではめちゃ生きるんだけど、その思想をそのまま現実に持ってこられると苦手だわ、という自分の嗜好を再確認した
  • KAMIJOの日本語歌謡曲は大大大好きなので、この手の曲は今後も希望。そして変に一般化しないで、あくまで架空の物語の中の話を歌ってくれると、私としてはなお嬉しい。
  • シングル化にあたって、ライヴ中のナレーションでいうところの「ルイは思い上がっていた」「貴方が王だ」のあたりのことを歌詞にしてくれるのかと思っていたけど、もっと一般化されちゃったもんな
  • ライヴでもSang IIIの歌い終わりに「全ての少年少女たちへ」的なことをよく言ってたけど、シングルがここまで一般化されるとは予想外だった。


TOKYO BASTILLE

  • これは、Lastierだね!(例えが20年前)
  • 90年代後半ヴィジュアル系感がすごい
  • KAMIJOの激しめ曲は、作曲能力が高くうまくまとまっているせいで品がよすぎて、あんまりテンションが上がらないことが多いが、これは結構好きな曲調
  • VersaillesのJudicial Noirとか、DRY ICE SCREAM!!とか、あのあたりのイメージ
  • テンポもよい。Dying-TableとかVampire Rock Starは遅すぎて、ライヴでもヘドバンしづらく、どうしても拳になってしまうのでノリきれないという惜しい部分があったが、これは頭を振れる
  • Vampire Rock Starもそうだけど、ソロなのにこういうKAMIJOらしくない曲もやれるのがすごいしえらい。
  • やたらと気合の入った発声もよい。特に「TOKYO BASTILLE」の入りの発声、超よいよ
  • これをVersaillesでやると、途中で派手なギターソロが入るのだろうが、そういうのないすっきりした構成で、スピード感を持ったまま、すっと終わるのがKAMIJOソロらしくてよい

  • 歌詞はよくわからないし、これ系の歌詞は別に好きでもない
  • 「自分をさらけ出すことで魅力的に変わっていく」的なこと、割とよく言ってる気がするが、いつもよくわからない
  • さらに言うとTOKYO BASTILLEという単語もしくは概念の意味がそもそもわかってない。おそらくは、今この現代、この場所で、自分に革命を起こす、的なことなんだと思われる。


私たちは戦う、昨日までの自分と

  • 第一印象:歌入りの声が高い
  • 初音ミクが歌ってたときは全く気にならなかったけど、KAMIJOが歌うとかなり高く感じる。
  • そして、これまで初音ミクの歌でしか聴いてなかったから、やはりKAMIJOに歌われると違和感がある。この違和感、この後ライヴでKAMIJOの歌を聴く回数を重ねるごとに消えていくんだろうな
  • 初音ミクのソロ歌時とは歌詞が変わってるんだね。てっきり、そのまんま歌うのかと思ってた
  • それでも「想像もできないのね」の語尾をそのまま残したのは意外。「君にもなれるよ」は「なれるさ」に変わってるのに、ここは原曲通り。

  • 歌詞じゃなく曲の方がどう変わっているのかは、元曲の方の音源をほとんど聴いてないのでわからない。この曲、ライヴでは5回聴いたけど、音源は3回くらいしか聴いてない…
  • なのでKAMIJO歌唱版のこの曲を聴いても、今のところ頭の中ではライヴでの視界が再現されて、初音ミクが踊っている。イントロの横顔とか、「みーんーなー、いーくーよー!」とか、途中のフリも全部。
  • この曲はSang -Another Story-同様、ふとしたときに頭の中に流れてくる頻度が高い。いいメロディだよねーよいポップソング。さすがKAMIJOである、ポップさの加減が絶妙。


アルバムSangのinstrumentalバージョン

初回限定盤を買ったので、アルバムの歌なしカラオケバージョンが入ってた。こっちはまだ聴いてないので、この感想は別途。

KAMIJOソロの歌なしインスト版は、一番最初のLouisからほんっとに好きで、いつもそれを聴きたいがためにシングルも通常盤を購入しているほどなので、アルバム全曲のインスト版を出してくれるのはとても嬉しい。

私はKAMIJOの楽曲が好きだけど、KAMIJOの歌が入っていないKAMIJOのインスト曲の方がもっと好きで、それはつまりボーカルとしてのKAMIJOよりも作曲者としてのKAMIJOの方がより好きということなんだろうな。

もちろん、ボーカルとしてのKAMIJOもだいぶ好きだけどね!Versailles初期は正直そうでもなかったが、最近は素直に好き。Another Storyの歌詞じゃないけど、いつまでも作曲し、歌い続けて欲しいと思う。

Sang -Another Story- (完全限定盤)

Sang -Another Story- (完全限定盤)


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