Versailles 「Holy Grail」レビュー 後編

引き続きまして、後編です。

前編はこちら




8. Threshold
★★★☆☆


サウンドトラック。
これ、Descendant of the Roseのときみたいに、
アレンジしてYUKIがドラムソロででも叩いてくれるんだろうと勝手に思ってたのですが
蓋を開けてみたら、ライヴでは本編の中盤で音源が流されるだけで
演奏全くなしでしたな。残念ー!
Versaillesサウンドトラックは大体結構好きなので、
ライヴで生演奏聴いてみたかったなー
なおライヴではおてるが必死に煽って客に拳を要求したりしていた気がするが
最早あんまり記憶がない。
ライヴでこれ聴くと、ああもう後半かーって実感する。




9. Judicial Noir
★★★★☆


この曲大好きー!
特にイントロとアウトロ!あっさり終わるのも好印象。
カップリングで入ったときから好きだったんだけど
Thresholdからのつながりがすごくよくて、
この位置にぴったり合ってるー!ナイス曲順。
なんかすんごい懐かしい。90年代末の香りがする!
LastierとかD+SHADEとか、あのへんのバンドのシングル曲ってかんじ。
こういう曲聴くと、ある程度年齢いってるメンバーの
バンドが好きでよかったなーって思う。懐かしめるもんー。
未だに、やっぱり自分の好みの基盤はあの時代にある。


ライヴでは前半数曲目であっさりやられてしまうことが多い気が。
NOBLEでいうAntique、JUBILEEでいうRosenみたいな
前半でノリをつなぐために配置する、っていう位置づけのイメージ。
好きな曲なので、後半で聴きたい気もするけど、まあ前半が無難かな。


歌詞はあんま好きじゃないなー
アルバムの感想を自分でこれだけ書いてて気づいたけど、
私KAMIJOの漠然とした歌詞あんま好きじゃない。
薔薇の末裔物語の王道を行く、コンセプチュアルな歌詞が好きです。
コンセプチュアルであれば、どんなに陳腐でもよい
(むしろ陳腐であればあるほどよい)。




10. Love will be born again
★★☆☆☆


一応KAMIJOびいきなんですが…これはごめんなさい
正直、退屈である。
今にもさだまさしが歌い出しそうなイントロは、色んな意味で多少期待感があるが
その後、一切の盛り上がりもなく、
囁くように一人苦悩を浮かべながら歌う、KAMIJOさん。
うーん。KAMIJO大好きファンの人はこういうの好きなのかもしれんが
私は正直だめだ。ライヴで見てもあんま感慨ない。
「名も無き雨の唄」(かみじょソロバージョン)の方が断然好きだったぞー


そんでもって歌詞が…
前にも書いたが、私が好きなKAMIJOの歌詞はあくまで日本語詞であって
「え、ヴィジュアル系なのにそんな歌謡曲っぽくていいの」
「え、そんな直球でいいの、去勢ってあんた」
「え、そんな陳腐でいいの、これネタなの本気なのどっちなの」
ってところが好きなので、英語歌詞になってしまうとその魅力が半減する。
まあこの歌詞も、英語詞なのにも関わらずド直球&陳腐なのだが。
PRINCESSの英語歌詞部分思い出したよ。あーあ。
(英語であるにも関わらず、それが伝わってくるところが、ほんとうに不思議である)


KAMIJOは決してバンドを辞めてソロかつこの路線で売ってはいけないということを物語っている曲。
こういうのやるなら、まだ歌謡曲側に全力で振った方がよいと思う。冬東京ソロとか。
まあこの曲に関しては、ただ短めなのが救い。
これで長い曲だったらたぶん★1つだった。




11. Vampire
youtu.be
★★★☆☆


結成以来、薔薇の末裔の物語、という名の
結局のところは「アベルとカインの物語に端を発する吸血鬼物語」をコンセプトに
活動してきたVersaillesが、
ここにきて、満を持してタイトルに「Vampire」という曲を出してきたもんだから
どんな代表曲になるのか?と大期待していました。
が、私が期待しすぎだったようです。


好きだ、好きだが、いまいちインパクトに欠ける…!
好きなのだが、代表曲にはなり得ないなーこれじゃ。
Vampireというタイトルがもったいない…もう少し温存してもよかったのでは。
これより、アリストとかアセンデッドの方がずーっと吸血鬼っぽいもんなあ。
KAMIJOのベタ展開は好きなのに、サビが惜しいよー印象に残らない。
あ、Aメロ最初の、Dead Orchestra的ドラム部は好きです。
歌詞も、無駄に仰々しいところは大好きなので高ポイントですが
サビ周辺が、いつもの「〜したい」「〜してくれ」ばっかなので萎える。
たまには、少しくらい禁欲して下さい!


ていうか、そんなことよりですね
「Jesus Christ」の掛け声はPhantasmagoriaのキィ様と戮の専売特許だから!
侵害しちゃだめ!
逆ダイを煽られても、脳裏に神歌しか浮かばないわけですよ。


これを超える、笑撃のライブパフォーマンスをKAMIJOは行えないでしょう。


しかしVampireのPV、私これ結構好きだなー
なんかVersaillesって、無駄に豪華な衣装着てゴテゴテなのに
実際は城みたいな豪華なステージじゃなく、
せっまいステージで肩寄せ合って演奏してて、そのギャップが好きなんだけど
その妙なアンバランスさがすごくよく出てる。
そうそう実際こんなだよなーっていう。この安っぽさが好きよ!
ちなみにこのPVの撮影場所である渋谷のスターラウンジには
偶然BUGYのライヴで行ったことがあるのですが、
雰囲気があってなかなかよいハコでした。




11. Faith & Decision
★★★★☆


ほい、HIZAKIさまお得意の超長編曲。
その長さ、なんと16分28秒!
今まで、History、PRINCESSとHIZAKIの長編曲があんまり好きじゃなかった私は
「このバンド内では、長い曲を作った人ほど偉い」
とか中学生っぽいこと言ってる場合じゃないんでないの、
ちょっと意地はりすぎじゃない?長けりゃいいってもんじゃないよ、
HIZAKIの長編曲まとまりないし複雑すぎて私は好きじゃないわ、と常々思っており、
全く期待してなかったのですが、これはね、よかった!
好きだった。自分でもびっくり。


これはバンドの曲と言うより、楽器陣の技術発表会である。
ところどころ(主に速弾き部分)で、HIZAKIのドヤ顔が思い浮かび、微笑ましい。
終わるかと見せかけて、なかなか終わらない。
なかなかっていうか、一向に終わらない。
そして歌詞以前に、まず曲が極めて宇宙的。
さすがスピリチュアル・アクティヴィスト(SUGIZO)ならぬ
スピリチュアルギタリストのHIZAKIさま…
なんか初めて聴いたときは、
「あ、これ今までの曲のフレーズをところどころに入れてるのね」と思ったのだが、
繰り返し聴くうちにそれがどこだかわかんなくなっちゃった。
初聴きのときは「今までの集大成的、まとめ的曲なんだなー」と思ったんだけどなー
はて。


さて、曲開始から7分が経過し、誰もがその存在を忘れかけた頃に
ひっそりと登場し、おもむろに歌いだすKAMIJO。
もんのすごい気合い入ってるじゃないですか!
そうよ私が求める彼の発声はこれ系よ。
ゴッパレやMASQUERADEで見せている、この無駄に仰々しい発声よ。
Remember Foreverのあの軽さは一体なんだったの…
まあこの曲でも声自体は枯れてるんだけどね…でも発声が好き。


曲自体は、KAMIJO登場前のギターピロピロ部分と、
「赤い薔薇に姿を変えながら」以降が好きだなー
最早何メロなのかわかんないんだけど。
ここからちゃんと盛り上がってるので好き。ゴッパレっぽくまとまってる。
英語詞に挟まれた部分のメロも好きだよー。


しかし、せっかく綺麗にまとまったメロディや、渾身のギターソロの後で

無機質な時代の中で 背負うものに恵まれ
厳しくも確かな人生に感謝する

えっ…
KAMIJOさんなに言い出したの?なにこの歌詞。ネタ?
最早、コメント…しづらい…本気…なのかな


しかしさらに衝撃的なのは、このなっがい曲の最後の〆の、
KAMIJOがひときわ劇的に歌い上げる最後の歌詞が

壊れてしまうから 大切な世界が
この手で守って閉じ込めてた
赤い薔薇に変えた記憶の中の血を受け止め
現実の海へ送り出す


そして私たちが 夢見たあの場所で
友よあなたと歌おう

であることである。
最後の二行は、まあJasmineさんとの武道館の約束というエピソードに絡ませた
バンギャホイホイであるので、別にこの際どーでもいいっちゃいいんですけど
問題はその前の二行ですよ。
え、赤い薔薇に変えた記憶の中の血を受け止めて現実の海に送り出しちゃうの、っていう。
こりゃーびっくりである。
大衝撃である。
まあファンの人は皆さん当然ご存知でしょうが
Versaillesの最初のシングルであるThe Revenant Choirにおいて

Poured crimson adomiration into Holy Grail
(おそらくadmirationの誤植)

記憶の中の紅い血を薔薇に変えていた
響く Her shout and choir

と歌っており、
これはつまり、彼女を殺してその血を自分のものにして共に生きていくことにしました
(そして永遠の命を得た代わりに孤独と共に生き続ける羽目になりました)
ということで、
このことをよく「薔薇と共に生きていく」だの「薔薇の末裔」だのと歌ってきたわけだが
ここに来て、それを現実に返しちゃうんですか、っていう。
びっくりだよ。
…びっくりしてる間に曲終わっちゃったよ。




13. The Theme of Holy Grail
★★☆☆☆


KAMIJOのサウンドトラックが大好きなので期待していたんだけど
あまりにあっさり、おまけ程度でしたな。
またSound in Gateみたいなわくわくする曲聴きたいなー
あの曲ほんっと好きで、ライヴで音源流れただけでテンション上がった!
と、別アルバムの曲の感想で終わる…




というわけで。
アルバムの中にはちょくちょく好きな曲もあるのだが、
いかんせん、終幕っぽいぞ。
特にFaith & Decisionが極めて不穏すぎて、曲自体は好きなのに、不安。
薔薇の末裔物語、終了のお知らせですか?
それ困るんだけど。頼むよ!


まあ、日本に帰ってきてからのツアータイトルが
Versailles World Tour 2012 - Holy Grail- Reincarnation」であることだし
単に
「新メンバーになってから作った初めてのアルバムだし
 結成五周年だし、ここらで一区切り」
的な意味であることを祈る。
間違っても変な方向へ行かないでくれ!
薔薇の末裔という、訳わからんコンセプトを貫いて下さいお願いします
そんな訳わからんところが好きなんです。


ツアーファイナルの渋公、チケを確保したにも関わらず、
一時は行けないことが決まりかけたりもしたのだが
結局はぎりぎり行けることになったので、楽しんできます!
ツアー初日の渋公は、まあほんっとにひどいもんだった
(今まで見たライヴの中でワースト1だった)が、
その後は普通だったので、今回はあんまり心配してない。
ワールドツアーの集大成と、今後の展開含めて、すっごく楽しみにしてる。
なんだかんだ言っても、Versaillesにはまだまだ期待してるよ。
渋公が終わったら、また長文で何かしらメモるつもりです。